近年、日本社会における貧困問題が深刻化する中で、路上生活を送るホームレスの姿もまた変化を遂げている。かつては都市部で見られることが多かったホームレスだが、近年では地方都市でもその姿を目にする機会が増加している。
地域に根差した報道が浮き彫りにする、生活保護行政の実態
長年、生活保護に関する報道は、受給者と行政機関のどちらか一方を悪者のように仕立て上げる傾向が見られた。しかし、近年では、生活保護制度そのものの問題点に焦点を当て、より建設的な議論を促すような報道も見られるようになってきている。
特に、地域密着型の地方紙による報道は、その土地ならではの視点から問題を掘り下げ、生活保護行政の実態を浮き彫りにしていると言えるだろう。
岐阜新聞の挑戦:長期連載「ホームレスは、どこへ行った」
その好例と言えるのが、2024年2月から岐阜新聞で連載されている特集「ホームレスは、どこへ行った―岐阜の現場から―」である。
岐阜新聞の連載記事
全18回に及ぶ長期連載を通して、岐阜市におけるホームレスの現状や生活保護行政の課題を多角的に報じている。
岐阜市の生活保護行政における変化
注目すべきは、連載を通して岐阜市の生活保護行政に変化が見られる点が報じられている点だ。
例えば、市議会で生活保護申請における「水際作戦」の疑いが指摘されたことを受け、市側が対応の改善を表明するなど、従来の姿勢に変化が見られる。
岐阜新聞の取材姿勢:継続的な報道が生み出す変化
なぜ岐阜新聞は、このような長期にわたる連載を実現し、生活保護行政の変化を捉えることができたのだろうか?
その背景には、岐阜新聞記者の山田俊介氏の存在がある。山田氏は長年、貧困問題を取材し、現場の声に耳を傾けてきた。
彼の粘り強い取材と、生活保護問題に対する真摯な姿勢が、行政側の意識改革を促した一因と言えるだろう。
地域ジャーナリズムの可能性:より良い社会の実現に向けて
岐阜新聞の事例は、地域ジャーナリズムが社会に変化をもたらす可能性を示す好例と言えるだろう。
今後も、生活保護問題に限らず、地域に根差した報道機関の活躍に期待したい。