三菱の技術革新を体現するコンセプトカー「HSR」シリーズとは?

三菱自動車といえば、EVやPHEVなどの電動化技術、そして四輪駆動制御技術「S-AWC」など、先進技術を積極的に採用するメーカーというイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

しかし、これらの革新的な技術は、決して一朝一夕に生まれたわけではありません。1980年代から、三菱は未来を見据えた研究開発を着実に積み重ねてきました。その努力の結晶ともいえるのが、1987年の東京モーターショーで初公開されたコンセプトカー「HSR」シリーズです。

近未来的なデザインと、時代を先取りした技術を搭載

HSRは、まるでSF映画から飛び出してきたような、近未来的なデザインのクーペとして登場しました。一見すると、モーターショーのコンセプトカーにありがちな、デザイン重視の「ハリボテ」のようにも見えます。

しかし、その中身は、同年に発売された6代目「ギャラン VR-4」と共通のメカニズムを採用し、心臓部には後に「ランサーエボリューション」にも搭載される2リッター 直列4気筒「4G63」ターボエンジンを搭載するなど、当時の最新技術が惜しみなく投入されていました。

6代に渡り進化を遂げたHSRシリーズ

HSRは、その後も東京モーターショーの度に進化を続け、1997年の「HSR-VI」まで、6世代に渡り開発が進められました。

各世代のHSRには、アダプティブクルーズコントロール、自動駐車システム、メタノール混合燃料対応エンジン、電動開閉式ルーフ、4輪駆動力・制動力配分システム、自動運転システム、AYC(アクティブヨーコントロール)、ガルウィングドア、運転モードによるキャビン形状変化など、時代を先取りした技術が惜しみなく投入されました。

三菱の技術革新を体現するコンセプトカー「HSR」シリーズとは?

HSRの技術は、現在の三菱車に受け継がれている

HSRシリーズは、市販されることはありませんでしたが、「HSR」の「R」は「リサーチ(研究)」を意味することからもわかるように、あくまで技術研究のためのモデルでした。

そして、HSRで培われた技術の多くは、現在の三菱車の先進技術に活かされています。HSRシリーズは、三菱の技術革新を象徴する存在と言えるでしょう。