■「クラブで飲酒し車を運転した」
去年5月、名古屋市内のクラブから帰宅途中の男女5人が乗った車が橋の欄干に衝突。19歳の女性が死亡し、ほか同乗の男性2人も重傷を負った事故がありました。
車を飲酒運転していたとされる当時19歳の男は危険運転致死傷罪などに問われ、10月28日午後、名古屋地裁で判決が言い渡されます。
去年5月14日午前6時ごろ、名古屋市東区の矢田川橋の欄干に赤色の国産スポーツカーが激突しました。右側後部付近が大きくへこみ、リヤバンパーは外れ衝突の激しさを物語っています。
運転していたとされるのは当時19歳の無職の男。中学校の同級生の男女4人を乗せていました。この事故で後部座席にいた女性が死亡、ほか男性2人が顎の骨を折ったり、頭の骨を折ったりする重傷を負いました。
男は逮捕直後、警察の調べに「午前5時ごろまで栄のクラブで飲酒し、車を運転した」と供述していました。
そして事故から約半年が経った去年12月、名古屋地検は男を起訴。今年10月17日から名古屋地裁で裁判員裁判が始まりました。
男が起訴された罪は酒気帯び運転による「道交法違反」、「危険運転致死傷」、「犯人隠避教唆」の3つです。
起訴内容では、男は酒気を帯びた状態で時速100キロを超えて車を運転し事故を起こして3人を死傷させたうえ、その罪から逃れようと車の持ち主で事件時に助手席に座っていた同級生に運転の身代わりを依頼したとされています。
初公判で男は「スピードが何キロ出ていたかはわからないが、かなり出ていたと思う。それ以外は間違いない」などと起訴内容を概ね認めたことで、裁判の争点は量刑に絞られました。
■事故後、ドラレコのSDカードを捨てる
検察側の冒頭陳述では、男は去年5月13日夜に同級生らと名古屋市中区を訪れました。日付が変わったあと中区内のコンビニ店で酒を購入し付近で飲酒。その後に入店したクラブでも酒を飲んだ際に偶然、同級生の女性と出会いました。
帰宅の際、男は同級生の車を運転したいと言って運転席に座り、定員4人の車にこの女性を右側後部座席に座らせて5人で地元の愛知県春日井市に向かって出発。パトカーを見かけたため時速76キロ~115キロで走行しました。
そして車は事故現場へ。この時、道路は雨で濡れて滑りやすくなっている状態でした。車は時速40キロに制限された左カーブの道路に時速約106キロ~111キロで進入、曲がり切れずにスピンして橋の欄干に車の右側後部に衝突しました。左側後部座席に座っていた男性は窓から投げ出されるほどの衝撃でした。
男は助手席にいた同級生に犯人の身代わりを依頼。さらにドライブレコーダーからSDカードを抜き、橋から捨てました。
事故を受けて現場に駆け付けた警察官が同級生と男を連行し、署での事情聴取を経て身代わりがばれて男は逮捕されました。裁判で検察側は「同乗者からスピードを落とすよう言われたものの、そのまま走行した」などと指摘しました。