【掛布氏提唱】見逃し三振は悪? 野球解説者が語る「ネクストバッターサークルの重要性」とは

元プロ野球選手・掛布氏が語る、打席に立つための準備

ミスタータイガースの愛称で親しまれ、3度のホームラン王に輝いた掛布雅之氏。現役引退後は阪神タイガースの二軍監督を務め、現在は野球解説者として活躍するなど、長年野球界の第一線で活躍されています。

そんな掛布氏が、自身の経験を元に執筆した著書『掛布の打撃論』が話題となっています。今回は、同書の中から、野球観戦がもっと楽しくなる「バッターの視点」について解説していきます。

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ネクストバッターサークルは「戦場」だ

掛布氏は、ネクストバッターサークルを「いろんなことを考えないといけない場所」、いわば「戦場」と表現します。打席で迷いをなくすために、この場所で頭の中を整理することが重要とのこと。前の打者の結果を待つ間にも、スコア、イニング、アウトカウントなど、あらゆる状況を考慮し、自分に求められている役割を理解する必要があるのです。

もちろん、シミュレーションはネクストバッターサークルに入る前から始まっています。掛布氏の場合、ノーアウトであれば6番目の打者になった時から、心の準備を始めていたと言います。4番を打つ場合は、ツーアウト満塁で打席が回ってくる可能性を考慮し、8番打者が打席に入った時からスイッチを入れていたそうです。

掛布氏が断言!「見逃し三振はOK」

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2ストライクに追い込まれたら、ある程度ストライクゾーンを広げて待つのは、野球のセオリーです。それでも、自分がボールだと思った球で見逃し三振になってしまっても、それは仕方のないこと。むしろ、ボール球に手を出しての空振り三振よりもましだと、掛布氏は言います。

見逃し三振を「悪」と決めつける指導者が多いのも事実ですが、掛布氏は異議を唱えます。見逃し三振を意識しすぎると、フルカウントからの見極めが悪くなるだけでなく、追い込まれる前に勝負したくなるあまり、初球から安易に手を出してしまうバッターが増えてしまうからです。

チームとして四球の数を増やすためには、指導者が「見逃し三振でもいい」という方針を示すことが重要だと、掛布氏は説きます。