高層ビルやタワーマンションの上層階に住む、または働く人にとって、地震対策は常に重要な関心事です。特に、長周期地震動と呼ばれる、ゆっくりとした大きな揺れは、高層建築物に深刻な被害をもたらす可能性があります。今回は、長周期地震動の脅威と、その対策について詳しく解説します。
長周期地震動とは?その恐ろしさ
長周期地震動とは、周期の長い地震波によって引き起こされる、ゆっくりとした大きな揺れのことです。高層ビルは、この長周期地震動の影響を受けやすく、共振現象によって揺れが増幅される危険性があります。東日本大震災では、震源地から遠く離れた大阪の咲洲庁舎(さきしまコスモタワー)が長周期地震動によって大きく揺れ、被害が発生しました。
咲洲庁舎(さきしまコスモタワー)
また、令和6年の能登半島地震では、震源地から300km離れた大阪のあべのハルカスでもエレベーターが緊急停止しました。これは、長周期地震動が遠くまで伝播し、高層ビルに影響を与えることを示す事例です。
専門家の見解:長周期地震動への対策
防災システム研究所所長の山村武彦氏によると、近畿圏の一部では、揺れ幅6m以上の長周期地震動が10分以上続く可能性があるとされています。特に、2000年以前に建てられた、長周期地震動対策が不十分な超高層建物は、大きな被害を受けるリスクが高いと指摘されています。
家具の固定:飛ばされる危険を回避
高層階で4~5mもの揺れが発生した場合、固定されていない家具や家電製品が転倒・飛散し、人に危害を加える可能性があります。そのため、家具類をしっかりと固定することが重要です。
飛ばされ防止手すりの設置:安全ゾーンの確保
山村氏は、人が飛ばされないように、堅固な壁や床に「飛ばされ防止手すり」を設置することを推奨しています。これにより、安全な場所を確保し、激しい揺れの中でも身を守ることができます。
家庭でできる長周期地震動対策
高層ビルやタワーマンションにお住まいの方は、以下の対策を検討しましょう。
- 家具の固定:L字金具や転倒防止器具を使用して、家具を壁や床にしっかりと固定しましょう。特に、背の高い家具や重い家具は重点的に固定することが重要です。
- 安全ゾーンの確保:寝室やリビングなど、過ごす時間の長い場所に安全ゾーンを設け、地震発生時にすぐに避難できるよう準備しておきましょう。
- 備蓄品の確認:食料や水、懐中電灯、携帯ラジオ、救急セットなどの備蓄品を定期的に確認し、不足している場合は補充しましょう。
まとめ:備えあれば憂いなし
長周期地震動は、高層ビル居住者にとって大きな脅威です。家具の固定や飛ばされ防止手すりの設置など、適切な対策を講じることで、被害を最小限に抑えることができます。日頃から防災意識を高め、万が一の事態に備えましょう。
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