赤穂市民病院の医療ミス:元脳神経外科医を在宅起訴、高齢女性に重度の後遺症

赤穂市民病院で発生した医療過誤事件。執刀医の過失により患者が重度の後遺症を負ったこの事件は、医療現場における安全管理の重要性を改めて問いかけるものとなっています。この記事では、事件の概要、起訴内容、そして今後の影響について詳しく解説します。

ドリルによる神経切断で両足まひ、元医師を在宅起訴

2024年12月27日、神戸地検姫路支部は、赤穂市民病院の元脳神経外科医、松井宏樹医師(46)を業務上過失致傷の罪で在宅起訴しました。松井医師は2020年1月、高齢女性の腰椎手術中にドリルで神経を切断し、両足まひや歩行障害といった重度の後遺症を負わせた疑いが持たれています。

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起訴状によると、松井医師は出血により患部が見えにくい状況下で、漫然とドリルを使用し、神経を巻き込んで切断したとされています。止血措置を適切に行い、患部を目視できる状態を保つ必要があったにもかかわらず、それを怠ったことが過失と判断されました。医療訴訟に詳しい弁護士の山田一郎氏(仮名)は、「手術中の出血への対応は基本中の基本。見えにくい状況でドリルを使用するなど、言語道断だ」と指摘しています。

指導医は不起訴、医療現場の責任体制に疑問の声も

この手術には、60代の男性指導医も同席していました。しかし、地検支部は指導医については不起訴処分としています。不起訴の理由は明らかになっていませんが、指導医の監督責任についても議論が巻き起こる可能性があります。医療ジャーナリストの佐藤花子氏(仮名)は、「指導医の役割は若手医師の育成だけでなく、手術の安全を確保することでもある。今回の不起訴処分は、医療現場の責任体制に疑問を投げかけるものだ」と述べています。

過去にも事故報告、赤穂市民病院の安全管理体制が問われる

赤穂市によると、松井医師は2019年7月の着任から2021年8月の退職までの間に、関わった医療行為で8件の事故報告があったとのことです。今回の事件を含め、医療過誤が複数回発生していることから、赤穂市民病院の安全管理体制そのものに問題がある可能性も指摘されています。

病院側は今回の医療過誤を認め、再発防止に努めると表明しています。しかし、失われた患者の健康と生活は取り戻すことができません。この事件を教訓に、医療現場全体で安全管理体制の強化と再発防止策の徹底が求められます。

医療事故防止に向けて、私たちにできること

医療事故は、患者の人生を大きく変えてしまう深刻な問題です。医療現場だけでなく、私たち患者側も医療に関する知識を深め、医師とのコミュニケーションを積極的に図ることで、医療事故のリスクを減らすことができます。 自身の健康を守るためにも、医療への関心を高めていくことが大切です。