近年、年末年始の営業について、消費者の意識が変化しつつあります。かつては「正月三が日はお店が開いているのが当たり前」という風潮がありましたが、近年は従業員の休暇を尊重し、ゆっくりと新年を迎えることを重視する傾向が強まっているのです。この記事では、百貨店やスーパーの元日休業の動きと、その背景にある社会の変化について詳しく解説します。
百貨店の元日休業:新たな時代の幕開け
西武池袋本店(写真・共同通信)
2025年元日、西武池袋本店、西武渋谷店、西武秋田店、そごう広島店の4店舗が休業となることが発表されました。そごう・西武は2013年より全店で元日営業を行っていましたが、取引先や市場環境、顧客ニーズの変化を総合的に判断し、今回の決定に至ったと説明しています。日本百貨店協会の担当者によると、都内の百貨店で元日営業を行っていたのは西武池袋本店と西武渋谷店のみだったため、今回の決定により都内の大多数の百貨店は1月2日または3日からの営業開始となる見込みです。業界内でもこの決定はおおむね好意的に受け止められているとのことです。
SNSでも共感の声多数
このニュースを受け、SNS上では「元日くらいはゆっくりしようよ」「正月ぐらい休もう」といった共感の声が多く寄せられています。消費者の意識の変化が、企業の休業決定を後押ししていると言えるでしょう。
スーパーマーケットも追随:働き方改革の影響
百貨店だけでなく、スーパーマーケット業界でも正月の休業が広がりつつあります。大手スーパーチェーンのサミットは2021年から、ライフコーポレーションは2022年から、全国のほぼすべての店舗で正月三が日を休業しています。
コンビニの時短営業も増加傾向
さらに、コンビニエンスストアでも24時間営業を見直し、時短営業に切り替える動きが加速しています。共同通信が2024年4月に実施したコンビニ主要6社のアンケート調査によると、24時間営業をしていない時短店舗は全体の1割を超えていることが明らかになりました。セブン-イレブンでは時短営業の店舗数が2020年に比べて200店舗以上増加し、ローソンでも約100店舗増加しています。働き方改革や人手不足の影響に加え、消費者側の意識変化も背景にあると考えられます。
それでも残る「元日営業」への複雑な思い
一方で、未だに元日営業を行うスーパーマーケットが多いと感じている消費者も少なくありません。SNS上では「スーパーも全店休みにしてくれないかなぁ」「みんなで休もうよ」といった声が聞かれます。
90年代末からの変化と今後の展望
百貨店やスーパーの元日営業が急増したのは1990年代末から2000年代初頭にかけてのこと。人手不足が深刻化する中、コンビニの24時間営業がなくなるのも時間の問題かもしれません。無人店舗の増加も予想されます。
2018年に働き方改革関連法案が成立してから6年。消費者の意識変化、企業の対応、そして社会全体の変化。年末年始の営業形態は、まさに時代の転換点を迎えていると言えるでしょう。