【96歳経済学者の警鐘】日本の「失われた30年」から韓国は何を学ぶべきか?

日本経済の停滞、いわゆる「失われた30年」を予見した経済学者、暉峻淑子氏。96歳を迎えた彼女は、初来韓で何を語り、韓国にどんなメッセージを託したのか。本記事では、暉峻氏のインタビューから、日本の失敗と未来への提言、そして韓国への問いかけを読み解きます。

経済成長の影で置き去りにされた「豊かさ」とは

1989年、バブル経済の絶頂期に出版された暉峻氏の著書『豊かさとは何か』(韓国語版『金持ちの国、貧乏な国民』)は、経済成長の裏で国民が真の豊かさを感じられない日本の現実を鋭く指摘し、大きな反響を呼びました。

暉峻淑子名誉教授インタビューの様子暉峻淑子名誉教授インタビューの様子

当時、世界第2位の経済大国として繁栄を謳歌していた日本。しかし、暉峻氏は、人々が過酷な労働環境に身を置き、将来への不安を抱えている実態を明らかにしました。この警告は、後の「失われた30年」を予見するものだったと言えるでしょう。

ドイツとの比較:異なる資本主義の形

暉峻氏が「豊かさ」について深く考えるきっかけとなったのは、ベルリン自由大学での客員教授としての経験でした。ドイツでは、労働者も比較的ゆとりある生活を送っており、教育費や交通費の支援も充実していました。この経験から、彼女は資本主義にも様々な形があり、国民生活を重視する資本主義の重要性を認識したのです。

暉峻淑子名誉教授インタビューの様子暉峻淑子名誉教授インタビューの様子

日本のバブル崩壊後、グローバル化の波に乗り遅れ、経済成長は停滞。1人当たりGDPも大きく下落しました。「アベノミクス」による金融緩和も効果は限定的であり、今後の経済状況は依然として不透明です。

政治の限界を超えて:個人の対話と連帯

巨大な政治システムの失敗を目の当たりにした暉峻氏が、今、希望を託すのは「個人の力」です。彼女は、個々の意思疎通と連帯こそが社会を変える原動力になると信じています。

2010年から、地域住民と「対話的研究会」を継続的に開催。テーマを設定し、参加者同士で意見交換を行うこの活動は、民主主義の根幹を支える市民の意識を高めるための実践的な試みと言えるでしょう。 専門家である経済学者の鈴木健太郎氏(仮名)も、「高齢化社会における地域コミュニティの活性化は、経済の持続可能性を高める上で非常に重要だ」と指摘しています。

韓国へのメッセージ:対話と反省から未来を拓く

初来韓となった暉峻氏は、過去の過ちを反省し、未来に向けて日韓が協力していくことの重要性を訴えました。歴史問題についても、真摯な対話を通して未来志向の関係を築くべきだと強調しました。

諦めずに希望を:未来世代へのメッセージ

暉峻氏は、若い世代に向けて「戦争の阻止」「根本的な問題への意識」「希望の保持」の3つのメッセージを贈りました。未来を担う世代が、これらのメッセージを受け止め、より良い社会を築いていくことが期待されます。

韓国もまた、経済成長の陰で様々な社会問題を抱えています。暉峻氏のメッセージは、韓国社会にとっても大きな示唆を与えてくれるのではないでしょうか。