近年の邦画界で注目を集めてきたサスペンス映画シリーズ「スマホを落としただけなのに」の最新作「~最終章~ ファイナルハッキングゲーム」が、興行収入で苦戦を強いられている。シリーズ3作目となる本作は、公開4日間で興行収入約1億4600万円と、前作から大きく数字を落としている。この低迷の背景には、一体何が隠されているのだろうか。本稿では、シリーズの興行収入推移を分析し、その原因を探る。
人気シリーズの興行収入推移:下降線を辿る現状
2018年に公開された第1作「スマホを落としただけなのに」は、最終興行収入約19億6000万円の大ヒットを記録。続く第2作「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」(2020年)も約11億9000万円と好成績を収めた。しかし、最新作は最終興行収入約5億円と予想され、シリーズ累計100万部を突破した原作小説の劇場版第4弾の製作も危ぶまれている。
スマホを落としただけなのにポスター
北川景子の不在:シリーズの命運を分けたキャスティング
興行収入低迷の最大の要因として挙げられるのが、ヒロイン・稲葉麻美役を演じた北川景子の不在だ。第1作での彼女の好演は、シリーズの人気を支える大きな柱となっていた。妊娠・出産によるスケジュールの都合で続編への出演が叶わなかったことは、製作側にとって大きな痛手となったと言えるだろう。
映画評論家の藤木隆之氏も、「北川景子の持つ、知性と美しさ、そして恐怖に立ち向かう芯の強さは、稲葉麻美というキャラクターに完璧にマッチしていた。彼女の不在は、シリーズの根幹を揺るがすほどのインパクトがあった」と指摘する。
第2作では白石麻衣、第3作ではクォン・ウンビがヒロインを務めたものの、SNS上では「やはり北川景子でなければ」という声が根強く、彼女の存在の大きさを改めて示す結果となった。
成田凌の試練:主演俳優としての真価問われる
北川景子の不在は、殺人鬼・加賀谷学役を演じた成田凌にも大きな影響を与えている。第1作で強烈な印象を残した彼の演技は、北川景子との共演によってさらに輝きを増していた。しかし、最新作ではその存在感が薄れてしまったとの声も上がっている。
北川景子
俳優としての評価を高める絶好の機会であったはずの「スマホを落としただけなのに」シリーズだが、結果的に成田凌にとって試練の場となってしまったと言えるだろう。今後の彼の活躍に期待したい。
まとめ:シリーズの未来
「スマホを落としただけなのに」シリーズは、現代社会における情報セキュリティの重要性をテーマにしたサスペンス作品として、多くの観客を魅了してきた。しかし、最新作の興行収入低迷は、シリーズの未来に暗い影を落としている。
北川景子の不在という大きなハンデを乗り越え、シリーズが再び輝きを取り戻すためには、新たな魅力を創出する必要がある。今後の展開に注目が集まる。