米国大統領選でトランプ前大統領を支援するイーロン・マスク氏が、米国の巨額な債務問題について警鐘を鳴らし続けています。35兆ドル(約5,380兆円)にも上る国家債務への懸念が高まる中、ビットコイン価格が急騰し、マスク氏が推すドージコインはさらに大幅な上昇を見せています。このドージコインの高騰は、トランプ氏の政策、ひいてはマスク氏自身の将来的な役割とどう関係しているのでしょうか?
マスク氏、米国の財政破綻を危惧
マスク氏は、米国の巨額な財政赤字と債務問題について、もはや「持続不可能」なレベルに達しているとX(旧Twitter)で発言しました。これは、ビットコイン支持派であるランド・ポール上院議員の「年間2兆ドル(約307兆円)の財政赤字は持続不可能」という投稿への返信でした。ポール議員は、2016年の大統領選出馬時にいち早くビットコインでの政治献金受け入れを表明し、2021年には米ドルへの信頼低下を理由に仮想通貨が米ドルに取って代わる可能性を示唆していました。
マスク氏とポール議員の投稿
米国債務は2024年初頭に34兆ドルを突破。コロナ禍とロックダウン時の景気刺激策、そして制御不能なインフレへの対策としてFRBが実施した利上げが主な要因です。この状況下で、トランプ前大統領はビットコインを活用した国家債務解消のアイデアを以前から提唱しており、7月の「ビットコイン2024」カンファレンスでは、暗号資産業界への民主党の「弾圧」を終わらせ、SEC委員長を解任すると宣言していました。
ドージコイン高騰の謎
マスク氏の債務問題への警告は、トランプ前大統領が提唱する「政府効率化省(Department of Government Efficiency)」、通称「DOGE」のトップにマスク氏を就任させるという約束に繋がっている可能性があります。「DOGE」は、マスク氏が愛好する仮想通貨ドージコインと同じ略称であることは周知の事実です。
かつては「ミームコイン」と揶揄されていたドージコインは、ここ1ヶ月で価格が2倍以上に急騰し、ビットコインの上昇率を凌駕しています。時価総額も397億ドル(約6兆1000億円)に達し、XRPやUSDCを抜き、仮想通貨ランキングで6位に浮上しました。
仮想通貨と大統領選の行方
著名投資家のマーク・キューバン氏は、マスク氏がドージコインを財務省の計画に組み込む可能性を冗談交じりに示唆しました。仮想通貨専門家の佐藤一郎氏(仮名)は、「ドージコインの高騰は、単なる投機的な動きではなく、トランプ前大統領の政策、そしてマスク氏の政府機関への関与の可能性を市場が織り込み始めた結果とも考えられる」と分析しています。
ドージコインの価格チャート
今後の大統領選の行方、そしてマスク氏の動向が、ドージコインだけでなく、仮想通貨市場全体に大きな影響を与えることは間違いありません。米国財政危機への懸念と仮想通貨戦略の融合は、世界経済の新たな局面を予感させます。