石破茂首相、幻の政権構想の裏側:森山裕幹事長起用と山崎拓氏の影

石破茂氏が首相の座に限りなく近づいた、あの時の政権構想。その舞台裏には、様々な思惑と戦略が渦巻いていました。今回は、森山裕氏の幹事長起用、そして山崎拓氏の存在が、石破氏の政治的運命にどう影響を与えたのかを探ります。

山崎拓氏の「石破首相」への執念

石破氏が首相になる未来を誰よりも強く願っていたのは、山崎拓氏でした。2024年4月の衆院補選での自民党の惨敗を受け、岸田政権の短命を予感した山崎氏は、いち早く動き出します。5月、水面下で「石破裏選対」を立ち上げ、村上誠一郎氏、中谷元氏など、石破氏に近い議員を集結させました。岸田氏から幹事長就任の打診があった場合の対応を石破氏に問いかけると、「どうでしょうか」と曖昧な返答。すかさず山崎氏は「絶対受けたらダメだ。総裁選に出ろ」と発破をかけ、石破氏の首相への道を切り開こうと奔走しました。

石破茂氏と山崎拓氏石破茂氏と山崎拓氏

小泉純一郎元首相との会合もセッティング。純一郎氏から「首相になるには才能と努力と運が必要だ。才能はあるのだから、義理と人情の人間関係の努力が大事だ」との金言を授けさせ、石破氏を鼓舞。7月には自身の政経フォーラムに石破氏を招き、首相にふさわしい人物として持ち上げました。総裁選告示前にも、選対の中心メンバーを集め、戦略を練り上げるなど、山崎氏は石破氏を首相の座に就けるため、あらゆる手を尽くしました。

森山裕幹事長誕生の背景

石破氏の政権構想において、森山裕氏の幹事長起用は重要なピースでした。選対委員長への起用を推す声もありましたが、石破氏は「最初から森山さんに決めている」と譲らず、森山氏を幹事長に据えました。国対委員長として歴代最長の在任記録を持ち、公明党との太いパイプを持つ森山氏は、石破氏にとってまさに理想の幹事長候補だったのです。そして、この人事を後押ししたのが、他でもない山崎氏でした。森山氏は旧山崎派出身であり、山崎氏との深い繋がりがあったのです。

菅義偉氏との駆け引き

総裁選を目前に控えた9月26日、石破氏は菅義偉氏のもとを訪れ、「もし決選投票に進んだら協力をお願いします」と頭を下げました。当時、菅氏は河野太郎氏を支持していましたが、石破氏は「2人が残ればどちらが勝っても恨みっこなしです」と付け加え、菅氏との良好な関係を維持しようと努めました。

高市早苗氏への対応の誤算

石破氏の最大の誤算は、高市早苗氏への対応でした。政策の違いを理由に、高市氏を要職に就けることを避けました。この判断が、後に大きな影を落とすことになります。

まとめ:幻に終わった石破政権

山崎氏の熱意、森山氏の幹事長就任、そして菅氏との駆け引き。石破氏の首相への道は、綿密に計画され、着実に進んでいるように見えました。しかし、高市氏への対応の誤算など、いくつかの要因が重なり、石破氏の政権構想は ultimately 幻に終わってしまいました。政治の世界の複雑さと厳しさを改めて感じさせるエピソードと言えるでしょう。