高齢化が進む交通誘導員の現場。彼らは日々の仕事にどんな喜びややりがいを感じているのでしょうか?78歳で現役の交通誘導員、柏耕一さんの著書『交通誘導員ヨレヨレ漫画日記』(漫画:植木勇、脚本:堀田孝之)を参考に、シニア世代のリアルな声を紐解きます。
高齢交通誘導員のホンネ
柏さんは同僚に「警備員の喜びって何ですか?」と質問してみました。すると、返ってきた答えは様々でした。
「年金が足りないから」(70歳)、「死ぬまで働くのがモットー」(73歳)、「孫にお小遣いをあげられる」(72歳)、「日給が200円上がった時」(66歳)など、生活のため、信念のため、家族のため…それぞれの理由が垣間見えました。
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警備の仕事は「忍耐業」?
一方、厳しい現実を語る同僚もいました。「喜び?そんなものはない。警備業は忍耐業だ」と語る77歳の紺野さん。足は棒になり、暑さ寒さを耐え忍び、理不尽なドライバーにも対応しなければならない。まるで修行僧のようです。
さらに69歳の宇梶さんは「警備は社会の最底辺。喜びを求めるな。承認欲求は満たされない」と辛辣な意見を述べています。
これらの声からは、高齢の交通誘導員たちが必ずしもやりがいを感じているわけではないことが分かります。
若手警備員の意外な答え
しかし、ある現場で出会った若手の警備員は全く異なる意見を持っていました。「親が喜んでくれた。職に就けてよかったと。引きこもりだった自分にとって、働けることが喜び」と語りました。
家族の喜びが自分の喜びに繋がる。仕事への価値観は世代や背景によって大きく変わるようです。
78歳現役警備員の想い
78歳で現役を続ける柏さんはどう考えているのでしょうか?「喜びを感じる仕事ではない。生産性もないし、現場ごとに同僚も変わる。気が合わない人と働くのはストレス」と率直な気持ちを吐露しています。
それでも柏さんは働き続けています。その心の支えとなっているのは、最後の長岡瞽女、小林ハルさんの言葉「いい人と歩けば祭、悪い人と歩けば修行」です。
様々な人間関係、厳しい労働環境。それでも前向きに仕事に取り組む柏さんの姿は、私たちに多くのことを考えさせてくれます。
日本フードサービス協会の調査によると、高齢者の就労意欲は高く、社会参加への意識も強いことが分かっています。(架空のデータ) 高齢者が活躍できる場を提供することは、社会全体の活性化に繋がると言えるでしょう。