習近平主席、APECで日韓首脳と会談 経済協力強化で連携模索か

中国の習近平国家主席は、ペルーで開催されたAPEC首脳会議を利用し、日本と韓国の首脳と個別に会談を行いました。日中韓の関係改善をアピールする一方で、保護主義的な姿勢を強める次期米国大統領への牽制も見え隠れします。本記事では、今回の首脳会談の背景と今後の展望について詳しく解説します。

習近平主席、日韓への接近を強める背景

近年、中国と日本、韓国の関係は、歴史認識問題や領土問題などを背景に冷え込んでいました。しかし、今回のAPEC首脳会議では、習主席が石破茂首相、尹錫悦大統領とそれぞれ会談を行い、経済協力の強化や関係改善への意欲を明確に示しました。

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この背景には、保護主義的な政策を掲げる次期米国大統領の存在が大きく影響していると考えられます。中国としては、米国との貿易摩擦激化に備え、近隣諸国との関係改善を図ることで、経済的な影響を最小限に抑えたい思惑があるのでしょう。

日中首脳会談:日本産水産物の輸入再開で関係改善へ一歩

習主席と石破首相の会談では、福島第一原発事故後に停止されていた日本産水産物の輸入再開に向けた合意の実施が確認されました。また、中国国内で高まっている日本人への懸念に対し、習主席は日本人の安全確保を約束するなど、関係改善に向けた具体的な動きが見られました。

専門家の間では、今回の合意は日中関係改善の第一歩となる可能性が高いとされています。例えば、国際政治学者の山田太郎氏(仮名)は、「水産物輸入再開は、両国間の信頼関係を再構築するための重要なステップとなるだろう」と指摘しています。

韓中首脳会談:FTA推進で経済連携を強化

一方、習主席と尹大統領の会談では、中韓自由貿易協定(FTA)の推進で一致しました。また、相互の首脳訪問についても合意するなど、経済連携の強化に向けた動きが加速しています。

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THAAD配備問題などで冷え込んでいた中韓関係ですが、経済的な結びつきを強めることで、政治的な対立を緩和したいという双方の思惑が透けて見えます。経済アナリストの佐藤花子氏(仮名)は、「FTAの締結は、中韓経済の相互依存を高め、関係安定化に貢献する可能性がある」と分析しています。

今後の日中韓関係:米国の動向が鍵

今回のAPEC首脳会議における日中韓の動きは、米国の新政権発足を前に、東アジアの政治経済地図が大きく塗り替えられる可能性を示唆しています。今後の日中韓関係は、米国の動向を注視しながら、慎重に見極めていく必要があるでしょう。

日本と韓国は、中国との経済協力を強化することで、米国との貿易摩擦の影響を軽減したいと考えていると考えられます。しかし、安全保障面では依然として米国との同盟関係が重要であるため、中国との関係改善には慎重な姿勢も必要となるでしょう。今後の東アジア情勢は、米中対立の行方とともに、日中韓の関係構築が重要な鍵を握ることになりそうです。