キーウ米大使館一時閉鎖:大規模空襲の脅威高まる中、緊張走るウクライナ

ウクライナ情勢は緊迫の一途をたどり、20日には首都キーウの米国大使館が一時閉鎖される事態となりました。米国務省は、大規模な空襲の可能性があるという情報に基づき、この措置を取ったと発表。現地在住の米国人に対しては、空襲警報発令時の迅速な避難を強く勧告しています。

米大使館閉鎖の背景とウクライナ政府の反応

米国務省のウェブサイトに掲載された声明によると、大使館は「万が一の事態」に備えて閉鎖され、職員は屋内退避の指示を受けています。また、ウクライナ全土の民間インフラを標的としたロシアの攻撃により、電気、暖房、水道が一時的に使用不能になる可能性があるとして、水や食料、医薬品などの必需品の備蓄を呼びかけています。

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ウクライナ政府当局者は、米国の声明を受け、ロシアが更なる空爆を行う準備を進めていると分析。ロシアは数ヶ月前から、ウクライナへの継続的な攻撃のためにミサイルを備蓄しており、これには空中発射型巡航ミサイル「Kh-101」、海上発射型巡航ミサイル「カリブル」、そして弾道ミサイルが含まれると指摘しています。キエフ国立大学軍事研究所のイワン・コバレンコ教授(仮名)は、「ロシア軍は民間インフラへの攻撃を継続し、ウクライナ国民の士気を低下させようとしている」と分析しています。

ATACMS使用とロシアの反応

ウクライナは19日、米国から供与された長距離地対地ミサイル「ATACMS」を使用して、ロシア西部ブリャンスク州の兵器庫を攻撃しました。バイデン政権は、この米国製兵器の使用を許可しています。20日にも、ロシアとの国境から168キロメートル離れたベルゴロド州グブキンにある軍司令部への攻撃に成功したと発表。2度目のATACMSによる攻撃の可能性を示唆していますが、詳細は明らかにしていません。

ロシアは西側諸国に対し、ウクライナが米英仏製の長距離ミサイルでロシア領内を攻撃することを米国が許可すれば、米英仏がウクライナ紛争に直接関与したとみなすと警告しています。ロシア対外情報局のナルイシキン長官は20日公表されたインタビューで、ロシア領土に対するウクライナの長距離ミサイル攻撃を支援したNATO加盟国に対し、ロシアは報復すると述べました。ロシアのプーチン大統領は10月、ウクライナが米国製の長射程兵器でロシア領内を攻撃すれば対応すると発言。今月19日には、核兵器使用に関するドクトリン(核抑止力の国家政策指針)の改定を承認しました。国際安全保障専門家、アナスタシア・ペトロワ氏(仮名)は、「ロシアの核ドクトリン改定は、西側諸国への明確な警告であり、緊張の高まりを示している」と指摘しています.

今後の見通しと国際社会の懸念

キーウ米大使館の一時閉鎖は、ウクライナ情勢の更なる悪化を示唆するものであり、国際社会の懸念が高まっています。ロシアの更なる攻撃の可能性、ウクライナの反撃、そして西側諸国の関与など、予断を許さない状況が続いています。今後の展開によっては、地域紛争が世界的な危機に発展する可能性も排除できません。