徳島大学発のベンチャー企業、食用コオロギの生産・商品開発を手がける「グリラス」が、徳島地方裁判所に自己破産を申請したことが明らかになりました。負債総額は約1億5千万円に上るとのことです。未来の食料として期待される昆虫食ですが、消費者の抵抗感は依然として根強く、事業の難しさが浮き彫りになりました。
食料危機の救世主となるはずが…
世界的な人口増加に伴い、将来的な食料危機への懸念が高まっています。その解決策として、高タンパクで環境負荷も低い昆虫食が注目を集めてきました。グリラスもその先駆けとして、コオロギパウダーを使った商品開発などに取り組んできました。
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学校給食への導入で逆風
グリラスは2022年11月、徳島県内の学校給食にコオロギパウダーを使用したコロッケを提供しました。これは国内初の試みとして大きな話題となりましたが、同時にSNS上では昆虫食への批判的な意見が噴出。グリラスにも多くの苦情が寄せられるなど、大きな逆風を受けることとなりました。
消費者の理解を得る難しさ
昆虫食は栄養価の高さや環境への優しさなど、多くのメリットを有しています。しかし、見た目の抵抗感や「虫を食べる」という心理的なハードルから、消費者の理解を得ることが難しいのが現状です。
専門家の見解
食文化研究家の佐藤一郎氏(仮名)は、「昆虫食の普及には、消費者の意識改革が不可欠です。見た目や食感を工夫した商品開発はもちろん、昆虫食のメリットを丁寧に伝える啓発活動も重要でしょう」と指摘しています。
昆虫食の未来
グリラスの破産は、昆虫食ビジネスの難しさを改めて示すものとなりました。しかし、世界的な食料問題を解決する上で、昆虫食の可能性は依然として高いと考えられています。今後の技術革新や消費者への理解促進によって、昆虫食がより身近な存在となることが期待されています。
グリラスの挑戦と教訓
グリラスの挑戦は、昆虫食ビジネスのパイオニアとして大きな一歩を踏み出したと言えるでしょう。今回の破産は残念な結果となりましたが、今後の昆虫食ビジネス発展のための貴重な教訓となるはずです。
これからの食卓を考える
グリラスの破産は私たちに、食の未来について改めて考えさせる出来事となりました。持続可能な社会の実現に向けて、私たち一人ひとりが食料問題と向き合い、新たな食の選択肢を探求していく必要があるのではないでしょうか。