北海道猟友会がクマ駆除「応じない方針」検討 現場から不安の声も


【写真】ヒグマ駆除の猟友会依存が限界 期待の「職員ハンター」には課題も

 きっかけとなったのは、今年10月に出た札幌高裁判決だった。

 2018年8月、北海道猟友会砂川支部長の男性が砂川市から依頼され、ヒグマを駆除した。この際、男性が建物に向けて発砲したという理由で、銃の所持許可を取り消された。

 取り消しは違法と訴えた裁判で、一審判決は、建物に弾丸が当たる具体的な危険性を認めなかったが、高裁では判断が一転した。

 「弾丸がヒグマに命中したとしても、その後弾道が変化するなどして、建物に届く恐れがあった」と指摘し、訴えを退けた。原告側は10月24日に上告している。

 道猟友会の堀江篤会長は「ボランティアで駆除に出たのに、銃の所持許可を取り消されたら、(出動自体を)慎重にならざるを得ない」と話す。

 判決後、駆除の現場に出ることへの不安も各地からあがっているという。

 そんな状況から、北海道猟友会は自治体や道警などと連携が不足している場合、ヒグマの駆除要請があっても応じない方針を検討している。年内に理事会で各支部の意見を聞き、通知を出す方針だ。

 ただ、自治体や道警との事前訓練などで信頼関係を築けている地域もあるため、原則として各支部の判断に委ねるという。

 道庁によると、ほとんどの市町村が猟友会にヒグマの駆除を依頼している。

 猟友会が要請に応じなければ、自治体は駆除体制を再構築しなければならない。クマをだれが駆除するのか。(古畑航希)

朝日新聞社



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