多才なLiLiCoが語る、キャリアを切り拓く秘訣:21の顔を持つ彼女の「発言力」の哲学

「やりたい仕事が見つからない」「会社から求められることと自分の理想が違う」「仕事が楽しくない」――現代社会において、このような漠然とした悩みを抱える人は少なくありません。しかし、タレントのLiLiCoさんは、18歳でアイドルを目指して来日し、下積み時代にはホームレス生活まで経験しながらも、夢を諦めずに挑戦を続け、今では21もの肩書きを持つに至りました。ノンフィクション作家の笹井恵里子さんが、その多岐にわたるキャリアを築き上げたLiLiCoさんの「仕事術」と「成功の哲学」に迫ります。

21の職業を持つLiLiCo:大企業社長も認める「起業家精神」

LiLiCoさんは、テレビやラジオで活躍するタレント業に留まらず、映画コメンテーター、字幕翻訳家、ライター、歌手、声優、さらには洋服やジュエリーのデザインまで、実に21種類もの職業を掛け持ちしています。特筆すべきは、ジュエリーデザイナーとしては自ら会社を立ち上げ、経営者としての顔も持つ点です。先日、二人の大企業社長と食事を共にした際、「社長の会だね」と冗談を言い合ったところ、一人の社長が「この中で一番すごいのはLiLiCoさんです」と語ったといいます。LiLiCoさんが謙遜するも、社長たちは「私たちは雇われの身。ヘッドハンティングされて今の地位にある。しかしLiLiCoさんはご自身で会社を作り上げた。あなたが一番すごい」と述べ、その言葉はLiLiCoさんの心に深く響いたそうです。

多角的なキャリアを築いてきたタレントのLiLiCoさん。自身の仕事術と夢を叶える秘訣について語る。多角的なキャリアを築いてきたタレントのLiLiCoさん。自身の仕事術と夢を叶える秘訣について語る。

才能ではなく「本気で取り組む姿勢」が道を拓く

LiLiCoさん自身は、ビジネスの才能があると自覚しているわけではありません。しかし、何か新しいことに挑戦する時、あるいは「やりたい」と感じることがあれば、常に「本気で」「自分の力で」取り組んできたと語ります。例えば、書籍を出版する際はゴーストライターに頼まず自ら執筆し、ジュエリーデザインではアイデア段階から絵を描き起こす徹底ぶりです。45歳でプロレスラーとしてデビューした際には、何ヶ月もかけて受け身の訓練に励み、タレントとしての仕事では、メイクやヘアセットも全て自分で行うなど、細部にわたるまで自らの手で完成させることにこだわります。こうした愚直なまでの「本気で向き合う姿勢」こそが、彼女の多様なキャリアを切り拓いてきた原動力となっているのです。

夢を実現させる第一歩:「まず口に出すこと」の重要性

LiLiCoさんの多岐にわたる活動のプロセスにおいて、最も重要だと強調するのは、「やりたいことをしたいなら、まず第一に『口に出す』こと」です。多くの日本人が「太った?」といった直接的で失礼な発言をためらわない一方で、自分の願望や意見、本当に伝えたいことは胸に秘めがちだとLiLiCoさんは指摘します。以前、取材を受けた際のエピソードがその重要性を如実に示しています。3時間にも及ぶインタビューが終わり、LiLiCoさんがエレベーターに乗り込んだ際、ドアが閉まる寸前に、インタビュアーの記者が突然「昔、私はLiLiCoさんにファンレターを出したことがあるんです……!」と告白しました。その言葉が終わると同時に、エレベーターのドアは閉まりました。 LiLiCoさんは、「もしその記者が、もっと早い段階で『ファンでした』と口に出していれば、より深い話ができたかもしれない、もっと多くのチャンスが生まれたかもしれない」と感じたといいます。このエピソードは、「言いたいこと」や「やりたいこと」を口に出すことの価値と、それをためらうことで失われる可能性を示唆しています。

LiLiCoさんのキャリアは、単なる偶然や才能の賜物ではなく、明確な「目標を口に出し、それに向かって本気で努力する」という強い意志に裏打ちされています。もし今、あなたが仕事やキャリアに関してモヤモヤを抱えているなら、まずは「自分が何をしたいのか」をはっきりと口に出してみることから始めてみてはいかがでしょうか。それが、未来を切り拓く最初の一歩となるはずです。

参考文献