韓国では禁漁対象であるメスのズワイガニ(セイコガニ)が、日本から輸入され市場に流通していることが発覚し、波紋を広げています。資源保護の観点から国内では厳しく規制されているセイコガニですが、日本からの輸入品は取り締まりの対象外となっているため、地元漁業関係者から強い反発が起こっています。
セイコガニ保護の矛盾:国内規制と輸入品の乖離
韓国では、資源保護のためメスのズワイガニの捕獲、販売、所持、購入は法律で禁じられています。しかし、日本産のメスズワイガニ(スノークラブ)は規制の対象外となり、10月以降、水産市場やオンラインで販売されていることが明らかになりました。この矛盾した状況に、地元漁業関係者は「国内の流通秩序が崩壊する」と危機感を募らせています。浦項・蔚珍海洋警察署によると、日本産のメスズワイガニは10月から輸入され、市場に流通しているとのことです。
韓国の市場で販売されているズワイガニ
韓国の漁業関係者は、国内で厳しく取り締まっているセイコガニが、日本産という理由だけで自由に流通していることに強い憤りを感じています。「国内の漁業者は厳格な規制を守っているのに、なぜ日本産だけが特別扱いされるのか」という声が上がっており、食品医薬品安全処への抗議活動も計画されています。
処理水問題への懸念も再燃
日本産水産物に対する不信感は、福島第一原発の処理水放出問題によってさらに高まっています。今回のメスズワイガニ輸入問題にも、処理水への懸念が重なり、漁業関係者からは「輸入を即刻停止すべきだ」という強い要求が出ています。
偽装販売の取り締まり強化へ
浦項と蔚珍の海洋警察署は、今回の問題を受け、特別捜査班を編成しました。国内産のズワイガニを日本産と偽って販売する不正行為の取り締まりを強化し、水産市場の監視を強めています。
著名な食品安全コンサルタント、パク・ミンジュン氏は「消費者の安全を守るためには、原産地表示の厳格な管理と、輸入水産物に対する放射性物質検査の徹底が不可欠です」と指摘しています。
今後の動向に注目
日本産メスズワイガニの輸入問題をめぐる漁業関係者の抗議は激化しており、政府の対応が注目されます。資源保護と食の安全、そして日韓関係にも影響を与える可能性のあるこの問題、今後の動向から目が離せません。