兵庫県の斎藤元彦知事と県内市町長が政策課題について意見交換する懇話会が26日、神戸市で開かれた。斎藤氏が再選された知事選を巡ってSNS(ネット交流サービス)上で誹謗(ひぼう)中傷や根拠不明の情報が飛び交ったことから、県市長会長の酒井隆明・丹波篠山市長は「言論が保障され人権が守られ、温かい心の兵庫県を取り戻してほしい」と要望した。首長らから、早期の県政正常化を求める声が相次いだ。
酒井市長は、再選への祝意を述べた上で、知事のパワーハラスメントなどの疑惑が文書で告発された問題が引き続き県議会などで議論される状況に触れ、「市町は県との連携なくして解決できない課題がある。混乱が続くと困る。県政が前に進むよう最善の努力をお願いしたい」と要望した。
さらに「このたびの選挙では事実と違うのではと思われることが流布され、人権、プライバシーに関わることが見受けられた。(選挙後に)県議が辞職されたのは誹謗中傷で議員が続けられなくなったと聞いている。兵庫の民主主義が壊れてしまうと心配している」と懸念を示した。
斎藤知事は会合の冒頭、文書告発問題による県政の停滞を陳謝した上で「文書問題も大切。一方でより良い施策、事業をやってほしいという声が大変強い。それぞれの市町にうかがいたいと思うので、現場の状況を教えていただきたい」と応じた。
知事選の終盤、酒井市長ら有志の県内22市長は、落選した稲村和美・前同県尼崎市長が適任とする意向を表明。斎藤知事にとっては、県内首長との関係修復も課題となっている。【幸長由子】