自民党の麻生太郎副総裁が、高市早苗内閣の「生みの親」としての認識を改めて示し、政権を取り巻く環境が決して楽観できないと述べたことで、永田町に波紋を広げています。麻生氏によるこの発言は、高市内閣への全面的な支持を表明しつつも、その背後にある深い関与と今後の育成への強い意志をうかがわせるものです。彼の言葉の端々からは、高市政権の行く末を見守る冷徹な視線も感じられます。
麻生副総裁、「生んだ以上は育てねば」と決意を表明
11月19日、東京都内で開催されたセミナーで講演した自民党の麻生太郎副総裁は、高市早苗内閣の現状に言及し、「今、(日本維新の会との)連立政権を取り巻く環境は決して楽観できない」との認識を示しました。さらに、「こういった内閣を生んだ以上は育てねばいかんという決意を新たにしている」と述べ、高市政権の「生みの親」としての自らの立場を強調。この「生んだ」という表現は、やや礼節を欠くと受け止められる可能性も否めませんが、麻生氏にとっては常套句であり、これまでの経緯を見れば彼の発言にも一理あると言えるでしょう。麻生氏が自らを「親」とまで自認するに至った背景には、昨年10月の自民党総裁選における彼の重要な役割がありました。
麻生太郎副総裁と高市早苗首相、自民党内での協力関係
自民党総裁選における麻生氏の戦略と影響
高市氏は前回の総裁選に続き、党員からの高い人気を集め、1回目の投票では小泉進次郎氏を抑えてトップの座を獲得しました。しかし、決選投票では2位の小泉氏と3位の林芳正氏が手を組む「2位・3位連合」が形成され、議員票が高市氏から小泉氏に流れ、逆転されるというシナリオも囁かれていました。この状況を打破するため、麻生氏が水面下で重要な役割を演じたとされています。
党内で唯一の派閥を維持する麻生氏は、事前に「党員票で1位になった候補を支持する」という方針を示していました。これは結果的に高市氏への支持を意味していました。当時の麻生派は40人余りの勢力でしたが、その指示は党内の動きに大きな影響を与えました。具体的には、1回目の投票で小林鷹之氏(議員票44票)と茂木敏充氏(議員票34票)の陣営に対し、決選投票では麻生氏が支持する高市氏への投票を促すよう働きかけたと言われています。
決選投票の結果とポスト配置への評価
結果として、決選投票では高市氏が議員票でも小泉氏を上回り、総裁の座を射止めました。この一連の動きは、麻生氏の指示による「仕掛け」であったと党内では広く見られています。そして、総裁選での行動が「評価」された結果として、小林氏は政調会長に、茂木氏は外務大臣のポストにそれぞれ就任しました。この人事は、決選投票における彼らの高市氏支持への見返りであるとの見方がもっぱらです。
麻生副総裁の今回の発言は、高市内閣の安定運営に向けた彼の強い責任感と影響力を改めて示唆しています。連立政権を取り巻く厳しい環境の中、麻生氏が「生みの親」として高市内閣をいかに支え、導いていくのか、今後の政局の動向が注目されます。





