『ぼくたちん家』第7話:玄一と索、パートナーシップ制度と「好き」が織りなす家族の形

日本テレビ系ドラマ『ぼくたちん家』第7話では、ついに両思いとなった玄一(及川光博)と索(手越祐也)が「パートナーシップ制度」の活用を真剣に検討し始める。区役所への予約や両親への挨拶を切り出す索の積極性に玄一は圧倒される一方で、二人の関係性の変化に気づいたほたる(白鳥玉季)は、「いつ好きになったのか」「どんなところが好きになったのか」と索に矢継ぎ早に質問を投げかける。彼女にとって、二人の交際は喜ばしいことであると同時に、自身の将来にも関わる重大な出来事として、その表情には複雑な思いが滲んでいた。

パートナーシップ制度への挑戦と現実の壁

玄一と索が共に暮らす「かすがい」となる家を探し求める中、玄一の母親である千代子(由紀さおり)が北海道から上京し、アパートを訪れる。千代子は二人の関係に肯定的な反応を示すが、それは彼女が愛読するBL漫画『ハッピーエンドまであと3歩』の影響が大きいことが明らかになる。さらりと余命宣告を受けていることを明かす千代子のバイタリティに、索もほたるも戸惑いを隠せない。しかし、索が「漫画と現実は違いますから」と言い切るように、全てがフィクションのようにハッピーエンドを迎えるわけではない。

玄一と索、そしてほたるは、パートナーシップ制度の詳細を聞くために鯉登(大谷亮平)の家を訪れる。しかしそこで目にしたのは、パートナーの矢倉(kemio)と公正証書で誓い合った生活ルールの認識違いから大喧嘩する二人の姿だった。家を購入し、パートナーとして同棲している二人であっても、些細なすれ違いが M争へと発展する。険悪なムードの会話を目の当たりにし、玄一は不安を隠せない様子を見せるが、索は依然として玄一との家購入に前向きだ。この一連のシークエンスは、二人の性格の違いを鮮やかに描き出すと共に、パートナーシップ制度の手続きに必要な書類や過程が丁寧に説明されており、必見である。

千代子の影響:「好き」を肯定する多様な愛の形

玄一と索が共に暮らす夢を着々と実現しようとしているのに対し、ほたるは未だに「好きなもの」を見つけられずにいた。そんな彼女が自身の「好き」に正直になれたのは、千代子の隠そうともしないありのままの「好き」に触れたからに他ならない。千代子がBL漫画を好きになったきっかけは、息子である玄一がゲイであることを告白したことだった。年齢や性別に関係なく、好きなものを見つけることは人生を豊かに彩ってくれる。

千代子がBL漫画家の羽毛ふとん(芋生悠)のサイン会で、胸の内にある思いを伝えるシーンは感動的だ。この場面を観て、本作を手がける河野英裕プロデューサーが担当した映画『メタモルフォーゼの縁側』(2022年)で、市野井雪(宮本信子)がコメダ優(古川琴音)と出会った時の嬉しそうな表情が想起される。「誰を好きになっても、人間は幸せになれるんだって」と力説する千代子の言葉は、好きなものを好きでいられる繋がりの大切さと尊さが、両作の根底に流れていることを強く伝えている。

ドラマ『ぼくたちん家』より、及川光博演じる玄一と手越祐也演じる索ドラマ『ぼくたちん家』より、及川光博演じる玄一と手越祐也演じる索

『ぼくたちん家』第7話は、玄一と索の関係進展を通じて、パートナーシップ制度の現実的な側面を描き出す。そして、千代子の型破りな愛情表現と、それによってほたるが見つける自身の「好き」を通して、多様な家族の形と、人が「好き」という感情を肯定することの尊さを深く問いかける。漫画と現実、理想と現実の狭間で揺れ動きながらも、それぞれが「自分たちらしい幸せ」を模索していく姿は、私たちに多くの示唆を与えてくれるだろう。

参考文献