中国への短期滞在ビザ免除を受け、多くの韓国人観光客が中国を訪れています。しかし、先進的なキャッシュレス社会であるがゆえの落とし穴にハマり、戸惑う観光客が続出している現状を今回はお伝えします。一見便利そうなシステムの裏側に潜む、思わぬ壁とは一体何なのでしょうか。
キャッシュレス天国、観光客には試練？
中国では、フィンテックが急速に発展し、日常生活のあらゆる場面でスマホ決済が主流となっています。無人店舗や自動販売機はもちろん、食堂や雑貨店でも現金やクレジットカードが使えないケースが増えており、韓国人観光客にとっては大きな障壁となっています。
上海の街並み
57歳のAさんは、妻と上海旅行中にこの洗礼を受けました。現金はもちろん、VISAカードやMastercardも使えず、中国国内のスマホ決済アプリや口座送金しか受け付けてもらえない状況に困惑したといいます。「水一本買うのにも苦労した」とAさんは語っています。
現地電話番号の壁
中国のキャッシュレス化は、観光客にとって決済手段の問題だけでなく、様々な場面で不便をもたらしています。例えば、地下鉄の利用や観光地の予約にも、中国現地の携帯電話番号が必要となるケースが多いのです。
33歳の会社員Bさんは、蘇州旅行中に地下鉄に乗ろうとした際に、中国政府が開発したアプリのインストールと認証を求められました。しかし、認証には中国現地の携帯電話番号が必要で、結局タクシーを利用せざるを得なかったといいます。
さらに、26歳の大学院生Lさんは、敦煌の莫高窟を見物するために中国を訪れましたが、予約システムに中国現地の携帯電話番号が必要なため、入場券を手に入れることができず、断念せざるを得なかったという苦い経験をしています。
中国国内の声と政府の対応
こうした外国人観光客の不便さは、中国のソーシャルメディアでも話題になっています。多くの中国人が「外国人には不便かもしれない」と共感する一方で、「韓国の決済システムが遅れている」「井の中の蛙だ」といった批判的な意見も見られます。
中国政府もこの問題を認識し、現金の使用可能な環境の整備や事業者への協力を呼びかけていますが、現状では外国人観光客の不便は解消されていません。
専門家の見解
IT専門家の田中一郎氏（仮名）は、「中国のIT産業は、過渡的な段階を飛び越えて一気に最先端技術を導入したため、外国人観光客への配慮が行き届いていない面がある」と指摘しています。また、「今後、外国人観光客の増加が見込まれる中で、よりスムーズな決済システムや多言語対応のサービス拡充が不可欠となるだろう」と述べています。
まとめ：キャッシュレス社会への適応が鍵
中国旅行を楽しむためには、キャッシュレス社会への事前の準備と適応が不可欠です。中国国内のスマホ決済アプリの利用方法を事前に確認しておく、あるいはクレジットカードや現金が利用できる場所を調べておくなど、事前の情報収集が旅行をスムーズにする鍵となります。
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