(CNN) トランプ次期米大統領が先日、イーロン・マスク氏とビベック・ラマスワミ氏は次期政権で連邦政府の大幅縮小を提言するだろうと述べた時、米国の公務員の多くは自身の職が危うくなる可能性を悟った。
【映像】マスク氏の投稿が波紋、米連邦職員に広がる個人攻撃の恐れ
いま、彼らは新たな恐怖を抱えている。世界で最も裕福なマスク氏、そして大勢のフォロワーによる個人攻撃の標的になる恐れだ。
マスク氏は先週、連日の大量のメッセージに交え、X(旧ツイッター)で二つの投稿をリポストした。その内容は、比較的なじみの薄い気候関連の四つの政府ポストに就く人物の氏名と肩書きを公表するというもの。どちらの投稿も数千万回閲覧され、名指しされた人はありがたくない注目にさらされた。名指しされた女性4人のうち、少なくとも1人はSNSのアカウントを削除した。
マスク氏が政府機関の役職に関して投稿した情報は公共のオンラインデータベースで入手できるが、こうした投稿には、一般市民と直接接する機会のない役職に就く無名の政府職員を標的にする狙いがある。
複数の現職の連邦職員はCNNの取材に、マスク氏が裏方の官僚たちを個人攻撃の対象とすることで人生が永遠に変わってしまい、身の危険が及ぶ恐れを語った。他の職員はCNNに、マスク氏の標的になる恐れから完全離職する可能性も考えていると吐露。そうなれば、政府の縮小をめざすマスク氏の目標は適切な審査すら経ずに達成されることになる。
米連邦職員連盟(AFGE)のエベレット・ケリー会長は「連邦職員に恐怖と不安を植え付ける戦術だ」「恐怖を抱かせ、声を上げることを恐れさせる意図がある」と指摘した。AFGEは230万人を数える連邦公務員のうち80万人以上を代表している。
これはマスク氏としては目新しい行動ではない。マスク氏はこれまでもしばしば、ミスを犯したと主張する人物や、自身の妨げになる人物を狙い撃ちにしてきた。以前マスク氏の標的になった連邦職員の一人は、自分も同じような目に遭ったと振り返る。
ジョージ・メイソン大学で工学やコンピューターサイエンスを教えるメアリー・カミングス教授は「これが彼のやり方。人々を脅して退職を迫ったり、他のすべての機関に『次はお前だ』というシグナルを送る狙いがある」と説明する。カミングス氏は米運輸省道路交通安全局(NHTSA)在籍時、電気自動車大手テスラを批判したことでマスク氏の怒りを買った。