北朝鮮の首都、平壌。謎多きこの国の地下鉄は、限られた観光客しか訪れることができない特別な場所です。今回は、ロシア人YouTuberが平壌地下鉄を探訪し、その様子を動画で公開したというニュースをお届けします。果たして、ベールに包まれた平壌の地下には、どんな光景が広がっているのでしょうか?
ロシア人YouTuber、平壌地下鉄へ潜入!
ロシア人YouTuberのビクトル氏は、2024年に4泊5日の日程で北朝鮮を訪問。その中で、平壌地下鉄の富興駅、栄光駅、凱旋駅を訪れ、その様子を自身のYouTubeチャンネルで公開しました。北朝鮮では、観光客が地下鉄駅構内を撮影できるのは一部の駅に限られており、貴重な映像となっています。
ビクトル氏によると、以前は観光客が訪問できるのは富興駅と栄光駅の2駅のみでしたが、今回は3つ目の駅である凱旋駅まで訪れることができたとのこと。彼は車に乗って富興駅まで移動し、ガイドの案内に従って乗車券を購入。地下鉄の運賃は150ウォン(約25円)で、各プラットフォームには手信号で案内する係員が立っていました。
平壌地下鉄の凱旋駅の様子。北朝鮮のある学生が、米スポーツブランド「アンダーアーマー」のリュックサックを背負っている。
地下深く、歴史とプロパガンダが交差する空間
一行はエスカレーターで地下深くにあるプラットホームへ。アーチ状の天井と壁面には、「偉大な首領金日成同志」の文字と金日成一家の肖像画が描かれていました。3両編成の千里馬線列車内にも、金日成、金正日父子の写真が飾られており、北朝鮮のプロパガンダを色濃く感じさせる空間が広がっていました。
栄光駅は富興駅よりもさらに古風な内装で、高いアーチ型の天井には華やかな照明が設置され、韓服を着た女性の姿も多く見られました。
現代的な凱旋駅で目撃した意外な光景とは?
4つ目の停留所である凱旋駅で下車。2019年に改装された凱旋駅は、富興駅や栄光駅よりも現代的な雰囲気でした。天井にはスクリーンが設置され、駅舎の一角には金日成氏の胸像と壁画が飾られています。
ここでビクトル氏は、制服を着た学生たちに遭遇。なんと、ある男子生徒は「アンダーアーマー」のロゴが入ったリュックサックを背負っていたのです。アンダーアーマーはアメリカのスポーツブランドであり、北朝鮮で見かけるのは意外な光景と言えるでしょう。
コロナ禍を経て再開された北朝鮮観光
ビクトル氏は、ウラジオストクから出発した5日間の北朝鮮観光費用が計1378ドル(約20万7000円)だったと明かしています。これには航空便、宿泊費、食費などが含まれています。
新型コロナウイルス感染症の影響で国境を閉鎖していた北朝鮮は、2024年2月から観光客の受け入れを再開。在北朝鮮ロシア大使館の発表によると、2月から9月までに1000人以上のロシア人観光客が北朝鮮を訪問したとのことです。
平壌地下鉄は、北朝鮮の現状を垣間見ることができる貴重な場所。ロシア人YouTuberの動画を通して、その独特な雰囲気と意外な一面に触れることができました。