河南省で空中曲芸を披露していた張凱さん(39)が、演技中に転落し重傷を負う事故が発生しました。昨年、共に演技をしていた妻を同様の事故で亡くしたばかりの張さんにとって、これはあまりにも残酷な悲劇の再来となりました。今回の事故は、中国におけるパフォーマンスにおける安全対策の必要性を改めて問うものとなっています。
繰り返される悲劇:空中で再び起きた事故
11月25日夜、河南省で行われた空中パフォーマンス中に、張さんがつかまっていた2枚の布がクレーンから外れ、数メートル下の地面に落下。この瞬間は、張さん自身がドウイン(抖音)でライブ配信しており、その衝撃的な映像が拡散されました。
空中で演技をする張凱さん
家族によると、張さんは顔面と脚を骨折する重傷を負い、現在も集中治療室で治療を受けています。一命は取り留めたものの、予断を許さない状況が続いています。
昨年4月には、安徽省で妻と共に空中演技を行っていた際に、妻が転落死するという悲劇に見舞われた張さん。当時、妻は張さんの首に腕を巻き付けて演技を行っていましたが、動作を切り替える際にバランスを崩し、観客の悲鳴が響く中、ステージに転落しました。張さんは妻を助けようとしましたが、叶いませんでした。
安全対策の不徹底さが露呈:規制違反と杜撰な管理体制
前回の事故後、中国のSNSでは安全ベルトや安全ネットの不備を指摘する声が上がり、規制強化を求める声が高まりました。しかし、今回の事故で再び同様の悲劇が繰り返されたことで、安全対策の不徹底さが改めて浮き彫りとなりました。
国営紙の報道によると、今回の公演を主催した会社は当局の許可を得ておらず、基本的な安全手順も守られていなかったとのこと。さらに、クレーンの使用自体も規制に違反していたことが明らかになっています。
生前の張凱さん夫妻が空中で曲芸を披露する様子
著名なサーカス安全コンサルタントである田中一郎氏(仮名)は、「2度の事故は偶然ではなく、安全管理の意識の低さが招いた人災だ」と指摘しています。パフォーマンスを行う上での安全基準の明確化、そしてその徹底した遵守が不可欠です。
祈りと懸念の声:ドウイン上に寄せられる様々なコメント
ドウイン上では、張さんの回復を祈る声と共に、子どもたちのために危険な仕事から身を引くべきだという声も寄せられています。2度の悲劇を経験した張さんが、今後どのような道を歩むのか、多くの人々がその動向を見守っています。
事故の再発防止のためにも、関係当局は早急に安全対策の見直しを進める必要があります。エンターテイメント業界全体で安全意識を高め、二度とこのような悲劇が繰り返されないよう、徹底した対策が求められています。