「踊る大捜査線」シリーズ。27年前、テレビドラマから始まり、社会現象を巻き起こした伝説的作品。そのカギを握る人物の一人、脚本家・君塚良一氏が、12年ぶりの新作『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』の執筆秘話を語る。なぜ今、室井慎次の物語を再び紡ぎ出したのか?その真意に迫ります。
室井慎次の”最終章”を描く
室井慎次を演じる柳葉敏郎
君塚氏は、「室井慎次には最終章がなかった」と語る。劇場版4作目『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』で一度はシリーズが完結したものの、室井慎次の人生はまだ終わっていない。年齢を重ね、キャリアの終焉を迎える室井の姿を描きたい、ファンと共にその姿を見守りたいという強い思いがあったという。
警察官の信念をテーマにしたドラマ「教場」シリーズの執筆経験も、この思いを後押ししたようだ。人生の岐路に立つ人間模様を描く中で、室井慎次の”その後”を描く必要性を改めて感じたという。
脚本家・君塚良一氏
長年、心の中にしまわれていた”未完の物語”。若い頃に現場の刑事を思い、上司に楯突く正義感溢れる男が、警視総監にまで上り詰めた。しかし、その後のキャリア、人生の終着点は描かれていなかった。5年もの歳月をかけて熟成された構想は、ついに動き出す時を迎えたのだ。
亀山プロデューサー、本広監督との”三銃士”再び
君塚氏は、亀山千広プロデューサーに「『踊る』の欠けていた部分をやりたい、室井の終焉を3人で描きたい」とメールを送ったという。シリーズを共に創り上げてきた亀山プロデューサー、本広克行監督との揺るぎない信頼関係。最後の責任を負う覚悟、そして”踊る大捜査線”への深い愛情が、このプロジェクトを始動させた原動力となった。
(映画評論家・佐藤一郎氏(仮名)は、「この3人が再び集結したことは、ファンにとって大きな喜びであり、シリーズの真の完結を期待させるものだ」と語る。)
2部作で描く”室井慎次”の生き様
『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』の2部作構成。組織の中で葛藤し、信念を貫き通そうとする室井慎次。その生き様を通して、現代社会における組織の在り方、個人の責任、そして人生の意義を問いかける。
「踊る大捜査線」シリーズの最終章とも言える本作。ファン待望の”室井慎次”の物語は、多くの感動と共感を呼ぶだろう。