晩婚化が進む現代、老後生活への不安を抱える方も多いのではないでしょうか。悠々自適なセカンドライフを夢見ていても、予期せぬ出来事で老後資金が枯渇してしまうケースも少なくありません。この記事では、晩婚・晩産世帯が陥りやすい老後破産のリスクと、その対策についてFP相談ねっと認定FP(ファイナンシャルプランナー)の佐藤恵子さんの解説を交えながら詳しく解説します。
定年後も続く教育費の負担:大学院進学で想定外の支出
地方銀行に40年勤務し、70歳で定年退職を迎えた田中秀夫さん(仮名)。2,000万円の退職金と夫婦合わせて月25万円の公的年金で、老後資金には余裕があると思っていました。しかし、25歳の次女・美香さん(仮名)の大学院進学が、その楽園構想を揺るがし始めます。
地方銀行員イメージ
長女と長男は既に独立していましたが、晩婚・晩産だったため美香さんはまだ大学生。卒業まであと1年、そう思っていた矢先に、美香さんから大学院進学の希望が伝えられました。研究職を目指すという娘の夢を応援したい気持ちと、既に退職を決めていた焦燥感の中で、田中さん夫婦は学費負担を決断します。
長引く大学院生活と住宅リフォームで老後資金が激減
「子供の夢は叶えてあげたい」と願う田中さん夫婦。しかし、美香さんの博士号取得は難航し、大学院生活は2年、3年、そして4年と長期化していきます。
高齢と地方在住という条件下での再就職活動は厳しく、田中さんは清掃作業や旅館のアルバイトで月10万円程度の収入を得るのが精一杯。美香さんには経済的な負担をかけまいと、学費と生活費を捻出し続ける中で、住宅リフォーム費用1,000万円という更なる出費が発生。退職からわずか5年で、老後資金は300万円にまで減少してしまいました。
「いつまでこの状況が続くのか…」と不安を抱えながらも、美香さんに打ち明けられない田中さん。このようなケースは決して珍しくありません。佐藤恵子さんは、「晩婚・晩産世帯では、教育費の負担が長期化しやすいことに加え、住宅ローンやリフォーム費用などの大きな支出が重なる時期が遅くなる傾向があります。そのため、老後資金計画を立てる際には、想定外の支出を考慮した上で、余裕を持った資金計画を立てることが重要です」と指摘します。
晩婚・晩産世帯のための老後資金対策:専門家によるアドバイス
佐藤恵子さんは、以下のような対策を推奨しています。
- 教育費計画の早期策定: 子供の進路に関する希望を frühzeitig 把握し、大学院進学の可能性も視野に入れた教育費計画を立てましょう。奨学金制度の活用も検討すると良いでしょう。
- 住宅ローン・リフォーム計画の見直し: 住宅ローン完済時期を定年退職前に設定し、リフォーム費用も老後資金計画に組み込むようにしましょう。
- 老後資金の確保: NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを活用し、長期的な資産形成を心掛けましょう。
- 専門家への相談: ファイナンシャルプランナーに相談し、家計状況やライフプランに合わせた最適な老後資金計画を策定してもらいましょう。
晩婚・晩産世帯にとって、老後資金計画はより綿密な準備が必要です。想定外の出来事にも対応できるよう、早めの対策を講じることが大切です。
まとめ:安心の老後を迎えるために
この記事では、晩婚・晩産世帯が直面する老後破産のリスクと、その対策について解説しました。子供の教育費、住宅ローン、リフォーム費用など、想定外の支出に備え、余裕を持った老後資金計画を立てることが重要です。専門家への相談も有効な手段となります。安心して老後を迎えるために、今からしっかりと準備を始めましょう。