NHK大河ドラマ「光る君へ」がついに最終回を迎えました。紫式部と藤原道長の波乱万丈な人生が幕を閉じ、視聴者の心に深い余韻を残しました。今回は、藤原道長役を演じた柄本佑さんのインタビューを中心に、最終回の舞台裏と道長の最期に迫ります。
柄本佑が語る道長の最期
最終回の脚本を読んだ時の印象を、柄本さんは「女性たちの強さが際立つ、大石静さんらしい、このチームらしい道長の最期」と語っています。特に、源倫子(黒木華)と紫式部(吉高由里子)の女性らしい強さと、道長の男性らしい弱さが対比的に描かれたシーンが印象的だったようです。
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道長は誰にも看取られることなく静かに息を引き取りますが、倫子の目には涙はなく、「これでわたしの人生の第一章は終わった」という心境が描かれています。このシーンについて、柄本さんは「男性のロマンチシズムと女性のリアリズムが面白く共存している」と表現しました。
役作りのためのストイックな努力
病に伏せる道長を演じるため、柄本さんはわずか1日で体重を4キロ落としたというから驚きです。チーフ演出の中島由貴監督からのリクエストに応え、ボクサーの減量方法を参考にしながら、体調に気をつけつつ短期間で劇的な変化を実現しました。このプロ意識と役作りへの情熱が、道長の最期の虚無感をよりリアルに表現したと言えるでしょう。
道長の「望月の歌」と隠された心情
栄華を極めた道長が詠んだ「望月の歌」。今作では、従来のイメージとは異なり、人生の無常や虚しさを表現したものとして描かれています。柄本さんは、道長は恵まれた境遇に生まれたがゆえに、様々な人間関係や政に翻弄され、紫式部とただ二人で静かに暮らしたいという本心を押し殺していたのではないかと推測しています。
道長の最期について、大石静さんからは「最後まで美しくいて」というオーダーがあったそうで、柄本さんは枯れていく美しさを意識して演じたとのこと。権力者としての威厳と、内面に秘めた繊細な心情を見事に表現した柄本さんの演技は、多くの視聴者の心を掴みました。
柄本佑の「道」
柄本さんは、今年の漢字一文字を「道」としました。長期間にわたり藤原道長という人物と向き合った経験は、役者としての大きな財産になったと語っています。この作品で築き上げたチームとの絆も特別なものだと感じているそうで、今後の更なる活躍が期待されます。
まとめ
藤原道長という複雑な人物を演じきり、視聴者に深い感動を与えた柄本佑さん。彼の役者魂とストイックな姿勢は、まさにプロフェッショナルの鑑と言えるでしょう。「光る君へ」は、歴史ロマンだけでなく、現代社会にも通じる人間ドラマとして、多くの人々の記憶に残る作品となりました。