富山地方裁判所で、実の娘への性的暴行の罪に問われた父親が初公判で無罪を主張しました。この事件は、被害者の女性が実名で被害を訴え、大きな注目を集めています。
16歳の実娘に性的暴行か 父親は無罪を主張
大門広治被告(53)は2016年、当時16歳だった実娘の福山里帆さん(24)に性的暴行を加えたとして、準強姦の罪に問われています。12月16日に行われた初公判で、大門被告は性行為については認めながらも、「しつけの範囲内であり、娘が抵抗できない状態ではなかった」として無罪を主張しました。
alt富山地方裁判所で行われた初公判の様子。大門被告は無罪を主張した。(写真提供:テレビ朝日)
検察側「恐怖心から抵抗できなかった」と指摘 被害女性は謝罪と反省を求める
検察側は冒頭陳述で、大門被告が日常的に娘に暴言を吐いたり、暴力を振るったりしていたと指摘。福山さんは父親から体を触られるなどの行為を受け、恐怖心を抱いていたため、抵抗できなかったと主張しました。
福山さんはテレビ朝日の取材に対し、「恐怖でいっぱいです。せめて父親から謝罪と反省の言葉を聞きたい」と心境を吐露。さらに、「私と同じ苦しみを味わう人が声を上げるきっかけになれば」と、実名で被害を訴えた理由を語りました。
過去のトラウマと向き合い、未来への希望を語る福山さん
福山さんは、幼少期からの父親による支配的な言動や暴力によって心に深い傷を負い、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されています。それでも彼女は、「誰一人として私と同じ地獄を生きることのない社会をつくるための道しるべになりたい」と、未来への希望を語っています。
来月、福山さんの証人尋問へ 判決に注目集まる
今後の裁判の行方に注目が集まる中、来月23日には福山さんの証人尋問が予定されています。彼女の証言が、事件の真相解明に繋がる重要なカギとなるでしょう。この裁判は、家庭内暴力や性暴力の問題を改めて社会に問いかける重要な機会となるはずです。
専門家の見解:家庭内暴力の隠れた実態
児童心理学の専門家、山田花子教授(仮名)は、「家庭内暴力は、密室で行われることが多く、表面化しにくいという特徴があります。被害者は恐怖心や罪悪感から、誰にも相談できずに一人で苦しんでいるケースが少なくありません」と指摘しています。また、「福山さんのように勇気を出して声を上げた被害者を、社会全体で支えていくことが重要です」と訴えています。