シリアのアサド大統領失脚を受け、ロシアがシリアからの大規模な軍撤退を開始したという情報が、米当局者や西側当局者から明らかになりました。この動きは、中東情勢に大きな影響を与える可能性があり、今後の展開が注目されています。
ロシア軍撤退の背景と今後の見通し
米当局者によると、ロシアの撤退は先週から開始されたものの、恒久的なものになるかは不明です。撤退の規模は大きく、重要な動きであるとされています。諜報筋によれば、ロシア当局は現在、シリアの実権を握る反体制派組織「シャーム解放機構」（HTS）との交渉を試みているとのこと。交渉の内容は、フメイミム空軍基地やタルトゥスの港湾施設など、主要基地へのロシア軍の残留を認めるかどうかについてだとされています。
alt シリアのフメイミム空軍基地に向かうロシアの軍事車両
クレムリンのペスコフ報道官は、ダマスカスの反体制派との接触を認めており、シリア国内に施設と人員を配置している以上、現地の支配勢力との関係維持は不可欠だと述べています。
リビアへの軍事力移動と地中海における影響
さらに、ロシアは海軍資産をシリアからリビアへ移動させ始めているという情報もあります。国防当局者によると、ロシア政府はリビア国民軍のハフタル司令官に圧力をかけ、ベンガジ港の権益確保を迫っているとのことです。もしリビアとシリアの港湾を失えば、ロシアはNATO南側面への軍事力投射拠点となる地中海の港湾を失うことになります。特にタルトゥス港の喪失は、ロシアとアフリカ間の違法物資輸送を困難にする可能性があります。
航空記録や衛星画像からは、ロシア非常事態省に登録された貨物機が、過去1週間で少なくとも7回、リビアのアルカディム航空基地に到着したことが確認されています。アルカディム航空基地は、歴史的にロシアのアフリカにおける作戦拠点となっており、ワグネルなど民間軍事会社による兵器供与にも利用されてきました。
シリアからの撤退準備を示唆する衛星画像
米宇宙企業マクサーが12月13日午前に撮影した衛星画像からは、ロシアがシリアの軍事基地から航空機に貨物を積み込み、撤退の準備を進めている様子がうかがえます。フメイミム空軍基地には、貨物積載準備が整った2機のAN124大型輸送機が駐機していました。また、Ka-52攻撃ヘリコプターの解体やS-400地対空ミサイルシステム部品の積載準備も確認されています。
alt 装備品を積載するロシア軍用機を示す衛星画像
専門家の見解
国際情勢専門家（仮名：田中一郎氏）は、「ロシアのシリアからの撤退は、地政学的な力関係の変化を示唆する重要な動きです。今後のシリア情勢、そして中東全体の安定に大きな影響を与える可能性があります。」と分析しています。
まとめ
ロシア軍のシリアからの撤退は、中東情勢の大きな転換点となる可能性があります。今後の動向を注意深く見守る必要があります。 今回の記事は、入手可能な情報に基づいて作成されています。状況は刻一刻と変化する可能性があるため、最新情報にご注意ください。 jp24h.comでは、引き続きこの件に関する最新情報をお届けしていきます。
