専業主婦の年金、いわゆる「第3号被保険者制度」の廃止が延期されることが決定しました。このニュースは、経済界だけでなく、多くの働く女性にとっても落胆をもたらすものでしょう。 今回は、この制度の延期が経済だけでなく、女性のキャリアに及ぼす影響について、詳しく解説します。
廃止延期の背景と経済への影響
厚生労働省は、来年の通常国会における年金法改正案に第3号被保険者制度の廃止を盛り込まない方針を決定しました。5年後の実現を「目指す」としていますが、実現の確実性は不透明です。
経済同友会をはじめとする経済団体は、この制度の廃止を強く求めていました。というのも、第3号被保険者は保険料の負担なく年金を受け取ることができ、その財源は厚生年金や共済年金、つまり会社員や公務員の負担で賄われているからです。この不公平感が是正されないまま、財政負担の増大は避けられません。経済アナリストの山田一郎氏（仮名）は、「この制度の維持は、現役世代の負担を増大させ、経済成長の足かせとなる可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
alt: 働く女性のイメージ
女性のキャリアへの影響：働き方の多様化とキャリアアップの壁
日本では、103万円の所得税の壁や130万円の社会保険料発生の壁など、働き控えを助長する要因が存在します。これらの壁の撤廃は、女性のキャリアアップを促進する上で重要な課題とされています。
内閣府「男女共同参画白書 令和6年版」によると、共働き世帯は約75％と増加傾向にあります。女性の社会進出が進み、昇進も増える中、働きやすい環境づくりが求められています。第3号被保険者制度の廃止は、女性の就労意欲を高め、キャリアアップを促進する効果が期待されていました。しかし、廃止の延期は、この流れに水を差す可能性があります。
第3号被保険者制度は、出産や育児のために働けない女性を支援する一面もありますが、高所得の夫を持つ専業主婦も含まれており、不公平感が生じています。料理研究家の佐藤花子氏（仮名）は、「すべての女性が能力を発揮できる社会を作るためには、時代に合った制度設計が必要」と述べています。
諸外国の事例：個人単位での年金制度
多くの欧米諸国では、所得のある人のみが年金に加入するのが一般的です。日本のように国民年金への加入が義務化されている国は稀です。
イギリスでは、税制や年金制度は個人単位で考えられています。出産・育児期間に無収入や低所得の女性は、保険料の納付期間とみなされ、支給年金額に反映されます。重要なのは、夫の職業に関わらず妻の年金の扱いは同じであるという点です。これにより、不平等が生じることはありません。
alt: イギリスの国旗
まとめ：真の平等を目指して
第3号被保険者制度の廃止延期は、経済的な損失だけでなく、女性のキャリア形成にも影響を及ぼす可能性があります。真の男女平等を実現するためには、時代に即した制度設計が不可欠です。今後、政府は国民の声に耳を傾け、より公平で持続可能な社会保障制度を構築していく必要があるでしょう。
