NHK連続テレビ小説「あんぱん」(月~土曜午前8時放送、土曜は一週間振り返り)の第90話が1日、視聴者の間で大きな話題を呼びました。ヒロイン今田美桜演じる柳井のぶと北村匠海演じる柳井嵩の結婚祝賀会を舞台に、集まった女性たちの間で交わされた本音の会話、そして松嶋菜々子演じる登美子と河合優実演じる朝田蘭子の間に生まれた“まさかの”共感が、感動と共感を呼び起こしています。本作は、「ドクターX~外科医・大門未知子~」シリーズで知られる中園ミホ氏がオリジナル脚本を手掛け、国民的アニメ「アンパンマン」を生み出した漫画家やなせたかし氏と妻・暢さんをモデルに、激動の時代を生き抜いた夫婦の姿を描く朝ドラ通算112作目です。
結婚祝賀会に集う「朝田家・柳井家」の女性たち
第90話は、柳井のぶと柳井嵩の結婚を祝うために、朝田家と柳井家の女性たちが一堂に会する華やかな場面から幕を開けました。朝田くら(浅田美代子)は、夫である朝田釜次(吉田鋼太郎)の写真を携えて上京し、朝田メイコ(原菜乃華)が若松次郎(中島歩)の写真の隣に飾るなど、故人への思いも感じられる温かい雰囲気で祝賀会は進みます。
連続テレビ小説「あんぱん」第90話で、松嶋菜々子演じる登美子が河合優実演じる朝田蘭子を抱きしめる感動的なシーン。女性たちの連帯と共感が描かれている。
祝賀会に遅れて現れたのは、登美子(松嶋菜々子)と柳井千代子(戸田菜穂)。くらが嵩の母(登美子)を呼ぼうとしたものの、嵩が「あの人いると、色々厄介なので」と語ると、まさにその登美子が「あの人って私のことかしら?厄介者の母でございます」と登場するコミカルな一幕もありました。柳井千代子も、朝田羽多子(江口のりこ)の招待を受けて駆けつけ、「おめでとうございます。うれしゅうて、御免与町から飛んできました」と喜びを表現。会場には、柳井寛(竹野内豊)や柳井千尋(中沢元紀)の写真も並べられ、故人への敬意と家族の絆が描かれました。
男と女、それぞれの「支え」の形を巡る本音トーク
祝賀会では、女性陣による「男と女、夫婦の形」を巡る率直なトークが繰り広げられます。くらが「嵩くんにはピッタリの嫁やと思う。こればあ気の強い女子(おなご)が付いちょったら、柳井嵩はきっとひとかどの人物になるがやき。あてが保証します」と、のぶと嵩の相性の良さを力強く語ると、登美子は「ちょっと待って。それじゃまるで、のぶさんが付いていなかったら、嵩は役立たずみたいじゃない?」と反論。これに対し、羽多子が「登美子さん、男はみんなあ、そうやないですろうか。しっかりした女子に支えられて、ひとかどの男になるがです」と持論を展開し、場の議論は深まります。
くらと羽多子は、それぞれの夫(のぶの父親、博先生)も女性の支えがあってこそだったと語り、千代子も自身の夫・寛について「私は支えるというより、寛さんにうんと惚れちょりましたき」と、愛情の深さを明かしました。それぞれの立場から語られる夫婦観や男性への思いは、時代を超えた普遍的なテーマとして、多くの視聴者の心に響いたことでしょう。
登美子と蘭子、涙の共感と意外な絆
会話が深まる中、メイコが朝田蘭子(河合優実)に「蘭子姉ちゃんはどうなが?」と問いかけると、蘭子は「うちは、豪ちゃん(原豪:細田佳央太)に一生分の恋をした。それがうちの心の支えやき」と、純粋で一途な思いを告白。この蘭子の言葉に、これまであまり絡みのなかった登美子が、突然涙を流し「あなたの気持ち分かるわ」と蘭子を抱きしめるという“まさかの意気投合”を見せました。
この登美子の行動に対し、嵩が「ちょっと待ってよ。母さん、父さん死んでから2回も結婚してるじゃない」と突っ込むと、登美子は「一生分愛したのは、あなたの父さん(清)だけよ」と亡き夫への変わらぬ深い愛情を明かし、両手で顔を覆い隠しました。このシーンは、女性たちの間にある見えない絆や、深い悲しみや愛情を共有できることの尊さを描き出し、視聴者に強い印象を与えました。
視聴者の心に響く熱い反響
登美子と蘭子の意外な共感シーンは、放送直後からSNS上で大きな反響を呼びました。「登美子、千代子だけじゃなく蘭子ともつながったな。愛には真っすぐな人」「蘭子と登美子に泣かされ、トイレで多幸感に浸って、くらばあに泣かされ」「だから登美子さん、嫌いになれないんだよな」「登美子さんが3回結婚したのだって、女は夫に頼らないと生活できなかった時代だもの」といった声が多数寄せられ、キャラクターたちの人間味あふれる描写と、女性が生きる時代の背景に対する考察が深まりました。特に、登美子という一見奔放に見えるキャラクターの内面に秘められた深い愛情や共感性が、視聴者からの支持を集める形となりました。
次週予告:「勇気の花」咲く新展開へ
第90話で描かれた女性たちの連帯と本音の交流は、今後の物語に新たな深みをもたらすことでしょう。次週、4日からは第19週「勇気の花」に突入します。登場人物たちがそれぞれの「勇気の花」を咲かせ、どのような新展開を迎えるのか、今後の「あんぱん」の放送に期待が高まります。
参考文献
https://news.yahoo.co.jp/articles/12520af41eda9134b5ddd8b1b71804e9c937a1a6