毎日新聞が実施した参議院選挙当選者125人を対象とした政策アンケートの結果、日本の核保有・核共有に関する質問において、「核兵器を保有すべきだ」と回答した議員が8人に上ったことが判明しました。これは日本の防衛政策における新たな動きとして注目されます。
日本の国会議事堂全景。参院選の核政策に関する議論の中心地としての象徴。
核保有主張の議員、その内訳と過去との比較
「核兵器を保有すべきだ」と回答した8人の内訳は、参政党から6人、自由民主党から1人、そして日本保守党から1人でした。近年行われた国政選挙の当選者アンケートでは、同質問への「保有すべきだ」という回答はこれまでゼロ、または多くても1人にとどまっていました。しかし、今回の参院選で参政党が議席を伸ばしたことにより、その数が急増した形です。昨秋の衆院選当選者465人中では3人(自民2人、参政1人)、2022年の参院選では参政党の神谷宗幣代表1人でした。今回の結果を受けて、衆参両院を合わせると二桁の国会議員が核保有を主張する異例の議会構成となっています。
非核三原則との矛盾と専門家の警鐘
この核保有論は、日本が長年堅持してきた「持たず、つくらず、持ち込ませず」という非核三原則と相容れません。特に、その根幹である「持たず」を転換することになれば、国内はもちろん国際社会からも強い反対論が予想されます。
国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」の国際運営委員を務める川崎哲氏は、今回の結果について「驚くべき数で憂慮すべきことだ」と懸念を表明しています。核武装には核拡散防止条約(NPT)体制からの脱退が不可欠ですが、川崎氏はその現実的な困難さを指摘し、「考え抜かれたというより軽い主張、キャッチフレーズのような主張だ」と批判しました。さらに、「国際情勢の厳しさもあり、過激な主張が受けてしまう状況があるが、被爆地の広島・長崎で何が起きたのかを見つめれば、軽はずみに乱暴な議論はできないはずだ」と強調し、議論の深まりを求めました。
参政党の核政策と核共有の議論
参政党は、その政策集において「核保有国に囲まれた日本を守るため、厳しい国際社会の現実を踏まえ、核廃絶を長期的な目標としつつ、日本を守るために核保有国に核を使わせない抑止力を持つ」と記述しており、日本の安全保障における核の役割に言及しています。
一方、「核兵器を保有すべきではないが、核共有は検討すべきだ」とした当選者は、全体の20%に当たる25人に上りました。政党別では、自民党が9人、国民民主党が4人、日本維新の会が5人、参政党が6人、無所属が1人でした。そして、全体の60%に当たる75人の当選者が「核保有も核共有もすべきではない」と回答し、従来の非核路線を支持する議員が多数を占めていることも明らかになりました。
結論
今回の参議院選挙の結果は、日本の国会議員の間で核保有に関する議論がかつてないほど高まっている現状を示しています。特に参政党の議席獲得が、これまで少数派であった核保有論の存在感を増幅させていることが明らかになりました。非核三原則との間で揺れる日本の安全保障政策は、今後も国内外で大きな議論を呼ぶことが予想されます。
参考文献
- 毎日新聞による参院選全候補者アンケート結果 (引用元)
- Yahoo!ニュース記事 (Source link)