コンゴからの「疾病X」、コロナ禍を忘れ去った日本人に迫るパンデミック危機の正体


 アフリカのコンゴ民主共和国(旧ザイール、以下「コンゴ」と記述)で、10月下旬に首都キンシャサから遠く離れた地域で最初に確認された「疾病X」と呼ばれる謎の病。すでに数百人が罹患(りかん)し、数十人が死亡しました。

 国際的な保健機関やコンゴ当局は調査チームを派遣しましたが、原因はまだ特定されていません。現在、その感染症の致死率は50%に達するとも伝えられ、あのコロナ禍同様の世界的感染爆発も懸念されています。

 症状はインフルエンザに似ており、発熱や頭痛、咳(せき)、鼻水、体の痛みなどが挙げられます。比較的短期間で感染者が相次ぎ確認され、死亡率が高いこの「X」ウイルスですが、新型コロナウイルス同様、なぜ世界へ警告を発するのに時間がかかったのでしょうか。日本ではあまり詳しい報道がないので、調べてみました。

 実は、西欧全体にほぼ匹敵する広さを持つコンゴは、世界でも発展が遅れた国家の一つです。すでに1億人を超える人口に対応できる医療体制や診断能力が乏しく、保健システムも初歩的なものにとどまっています。

 「疾病X」の感染者は首都から約700km離れたコンゴ南西部クワンゴ州のパンジ保健区域に集中していて、この地域へは陸路で約48時間かかり、雨期にはさらにアクセスが困難になるとのこと。

 世界保健機関(WHO)は現時点では、急性肺炎やインフルエンザ、新型コロナ、はしか、マラリアを潜在的な病因として挙げていて、Xウイルスを特定しているわけではありませんし、結論を得られるだけの検査も実施されていません。前述のような既知の感染症や複数の病気が感染や死亡に影響しているのであれば、対応は可能でしょう。

 野生動物に存在する膨大なウイルスは、新たな疾患の発生源になる可能性があると考えられています。ウイルスがヒトなど他の生物種に感染し、ヒトが免疫を持たない感染症を引き起こす恐れがあるからです。

 致死率50%という恐怖の数字が世界中に広がっているので、パンデミックの再来を懸念する外国の報道が多いのですが、現状ではコンゴで感染が確認されただけであり、主要な輸送ルートになっていないパンジ以外に感染が広がっているかどうかもまだわかっていません。



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