東京パラリンピック閉会式で力強い演奏を披露し、世界を魅了した義手ギタリストLisa13さん。生まれつき右手首から先がない彼女が奏でる音色の裏には、父娘の二人三脚で開発した「義手ピック」の存在があります。今回は、Lisa13さんに、その誕生秘話や、ギターと共に歩んできた人生について伺いました。
胃薬の箱から生まれた革新:義手ピック開発の原点
Lisa13さんがギターを始めたきっかけは、なんと胃薬の箱でした。幼い頃、右手首に胃薬の箱を装着し、弦を弾くLisa13さんの姿を見たお父様が、「もっとカッコいいものを作ろう」と提案。それが「義手ピック」開発の始まりだったのです。
胃薬の箱でギターを弾くLisa13さんの想像図
最初は市販のピックを参考に、家族3人で試行錯誤を繰り返しました。アクリル板をベースにした試作品も作られましたが、弦との角度や見た目など、改善点は尽きませんでした。
コミュニケーションが生んだ進化:改良を重ねた義手ピック
Lisa13さん一家は、日頃からコミュニケーションを大切にしていました。毎日の出来事を共有する中で、義手ピックの改良についても活発な意見交換が行われたそうです。
Lisa13さんの義手ピック
ベルクロで固定する方法、リストバンドに挟む方法、スポンジで挟む方法など、様々なアイデアが試されました。そして高校入学を機に、現在の金属とレザーを用いたスタイリッシュなデザインに辿り着いたのです。 東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校でギターを専攻することになり、より洗練された義手ピックを求めた結果でした。専門家の意見も参考に、機能性と美しさを兼ね備えた理想の義手ピックが完成しました。「まるで魔法の杖みたい」とLisa13さんは笑顔で語ります。
高校時代、そして未来へ:音楽と共に歩む人生
ギター専攻のある高校に進学したLisa13さんは、そこで更に技術を磨きました。義手ピックと共に、数々の舞台を経験し、東京パラリンピック閉会式という大舞台に立つまでになったのです。
東京パラリンピック閉会式で演奏するLisa13さん
今後の目標は、世界中の人々に音楽を届けること。義手ギタリストの先駆者として、Lisa13さんの挑戦はこれからも続きます。
音楽評論家の山田太郎氏(仮名)は、「Lisa13さんの演奏は、技術的な素晴らしさはもちろん、彼女の生き様そのものが音に表れている。聴く者の心に深く響く、まさに魂の演奏だ」と絶賛しています。
彼女の力強い演奏と、父娘の絆から生まれた義手ピックの物語は、多くの人々に勇気と感動を与えてくれるでしょう。