ミャンマー西部ラカイン州で、少数民族武装勢力「アラカン軍(AA)」が国軍の西部軍管区司令部を制圧したと発表し、波紋が広がっています。国内の緊張情勢がさらに深刻化する可能性が懸念されています。
アラカン軍、国軍司令部制圧を宣言
AAは21日、ラカイン州中部にある国軍の西部軍管区司令部を「完全に支配した」と声明を発表。司令官らの拘束も明らかにしました。国軍側は現時点で公式な反応を示していませんが、事実であれば国軍にとって大きな痛手となるでしょう。
ミャンマー西部ラカイン州で煙が上がる国軍の西部軍管区司令部とみられる建物
ラカイン州におけるAAの勢力拡大
AAはラカイン族の自治権拡大を求める武装勢力。昨年11月、一時的な停戦が破綻し、国軍との戦闘を再開しました。今月にはバングラデシュ国境地帯を掌握し、今回の司令部制圧でラカイン州17郡区のうち13郡区を支配下に置いたとみられています。AAの勢力拡大は、国軍にとって深刻な脅威となっています。
国軍の苦戦鮮明化、2つ目の司令部陥落か
ミャンマーでは各地で少数民族武装勢力との戦闘が続いており、国軍は苦戦を強いられています。8月には北東部シャン州の軍管区司令部を「ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)」に制圧されており、今回のラカイン州での司令部陥落は2カ所目となります。軍事専門家である佐藤一郎氏(仮名)は、「国軍の支配力が弱まっていることは明らかであり、今後の情勢はさらに不安定になるだろう」と指摘しています。
ミャンマー内戦の行方
今回の司令部制圧は、ミャンマー内戦の行方に大きな影響を与える可能性があります。国軍の弱体化が進む一方で、少数民族武装勢力の勢力拡大が続けば、国内の混乱はさらに深まることが懸念されます。今後の動向に、国際社会の注目が集まっています。
アヘン生産への影響も懸念
ミャンマーは世界最大のアヘン生産地であり、内戦の激化はアヘン生産にも影響を与えるとみられています。生活困窮に苦しむ農民がアヘン栽培に頼らざるを得ない状況が増えれば、麻薬問題の深刻化も懸念されます。
まとめ
ラカイン州におけるAAによる国軍司令部制圧は、ミャンマー情勢のさらなる悪化を示唆する重大な出来事です。国軍と少数民族武装勢力との対立の行方は不透明であり、今後の展開に注視していく必要があります。