プーチン大統領、年末記者会見でウクライナ侵攻の正当性主張も苦悩覗かせる

ロシアのプーチン大統領は年末恒例の記者会見を4時間半に渡り行い、ウクライナ侵攻の長期化やロシア経済の悪化など山積する問題について記者の質問に答えました。侵攻の正当性を改めて主張する一方で、苦悩を覗かせる場面も見られました。

プーチン大統領、侵攻の正当性主張も「深刻な試練」と吐露

プーチン大統領は会見の中で、「ロシアを奈落の淵から救った」と述べ、ウクライナ侵攻の正当性を改めて強調しました。ロシア軍は前線で前進していると主張する一方で、「準備が足りず、深刻な試練になった」とも吐露。ここ3年間は冗談を言うこともほとんどなく、笑わなくなったと語り、侵攻の長期化による重圧が自身にのしかかっていることを示唆しました。

プーチン大統領プーチン大統領

多くのロシア兵の犠牲やウクライナでの目標未達を指摘され、「弱体化しているのでは」との質問には、ロシアはより強くなっていると反論。しかし、具体的な証拠や根拠は示しませんでした。

停戦交渉への言及も具体的な内容には触れず

停戦交渉については、「ロシアはいつでも妥協する用意がある」と発言。しかし、具体的な内容には触れず、「ウクライナ側が交渉を拒否している」と責任を転嫁する姿勢を見せました。紛争終結の見通しや動員兵の帰還時期に関する質問には、明確な回答を避けています。

シリア情勢についても言及

アサド政権が崩壊したシリア情勢についても言及し、「ロシアの敗北ではない」と主張。アサド氏との面会は否定しました。

プーチン大統領会見プーチン大統領会見

プーチン大統領の今回の記者会見は、長期化するウクライナ侵攻に対する国際社会の批判をかわす狙いがあったと見られます。しかし、具体的な解決策や将来への展望を示すことはなく、ロシア国内外の不安は払拭されないままです。今後の動向に注目が集まります。

専門家の見解

国際政治アナリストの佐藤一郎氏(仮名)は、「プーチン大統領の発言は、国内向けのパフォーマンスの側面が強い。侵攻の正当性を強調することで、国民の支持を維持しようとしている」と分析しています。また、「停戦交渉への言及は、国際社会からの圧力に対するポーズに過ぎない可能性がある」と指摘しています。