近頃、日本人の国内旅行が伸び悩んでいるという現状をご存知でしょうか?コロナ禍の反動による「リベンジ消費」も落ち着きを見せ、物価高騰やインバウンド増加による宿泊費の高騰が旅行のハードルを上げています。オーバーツーリズムもまた、国内旅行の魅力を低下させる要因の一つとなっています。今回は、日本人の国内旅行を取り巻く現状と課題、そして未来への展望について考えてみましょう。
訪日客増加による観光地の変化と課題
京都の錦市場は、かつては地元の人々で賑わう食の宝庫でした。しかし、近年は外国人観光客の姿が目立ち、日本語が聞こえてくることは少なくなっています。インバウンド需要に応えるように、食べ歩きグルメを提供する店が増え、錦市場の風景は大きく変化しました。老舗精肉店「鳥豊」の4代目店主、長谷川孝さんもこの変化を肌で感じており、「5、6年前から圧倒的に多くなった」と訪日客増加について語っています。長谷川さんの店でも、数年前から食べ歩き用のスモークハムなどを販売し、英語表記のラベルを添えるようになりました。一方で、昔ながらの個人店が姿を消していく現状に寂しさも感じているといいます。
錦市場の風景
地元の京都市民からも、インバウンド増加による混雑への懸念の声が上がっています。錦市場を愛する65歳の男性は、「インバウンドが増えすぎて、通行するのも一苦労。このままでは行く気もうせてしまう」と現状を嘆いています。
宿泊費高騰と日帰り旅行へのシフト
観光庁の宿泊旅行統計調査によると、2024年は4月と10月を除き、日本人の宿泊者数は前年を下回っています。一方、訪日客の宿泊者数は全ての月で前年を上回っており、対照的な結果となっています。
物価高騰、特に宿泊料の高騰は、国内旅行を控える大きな要因となっています。消費者物価指数を見ると、宿泊料は2020年を100とした場合、2023年には134.3と大幅に上昇しています。明治安田総合研究所のエコノミスト、木村彩月氏は、「食料品などの値上がりが家計を圧迫し、節約志向が強まっている」と指摘。今後は日帰り旅行へのシフトが進むと予測しています。
円安と地方誘客への期待
観光地側も円安を追い風に、高額な宿泊費を支払う訪日客を重視する傾向があり、日本人旅行客が軽視されているという指摘もあります。木村氏は、「日銀の利上げ、米国の利下げが長期化すれば円安は緩和される可能性があるが、日本人の賃金上昇が不可欠」と述べています。
宿泊費高騰やオーバーツーリズムの問題は、訪日客が三大都市圏に集中していることが一因とされており、政府は地方への誘客を促進する施策を推進しています。地方の魅力を発掘し、新たな観光資源を開発することで、日本人旅行客の地方への回遊を促す狙いです。
国内旅行の未来
インバウンド増加は経済効果をもたらす一方で、観光地の混雑や物価高騰といった課題も生み出しています。持続可能な観光を実現するためには、訪日客と日本人旅行客のニーズのバランスを取り、双方にとって魅力的な観光地づくりが重要です。観光地の多様化、地方の魅力発信、そして日本人旅行客の経済的負担軽減に向けた取り組みが、国内旅行の未来を切り開く鍵となるでしょう。
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