ウクライナ侵攻におけるロシア軍の苦境が、新たな局面を迎えているようです。これまでにもオートバイやバン、トラックといった非装甲車両を兵員輸送に利用していたロシア軍ですが、ここにきて民生車両を使った大規模な突撃が行われたという情報が浮上し、波紋を広げています。果たしてこれは、ロシア軍の戦況悪化を象徴する出来事なのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
民生車両による突撃:ポクロウシク郊外での出来事
ウクライナ東部の要衝、ポクロウシク郊外。ここで先週、ピックアップトラックやセダンといった民生車両によるロシア軍の突撃が行われたと報じられています。ウクライナ軍のドローンが捉えた映像には、少なくとも7台の民生車両がウクライナ軍陣地に向けて突進する様子が映っており、そのうちの1台には赤い旗が掲げられていたとのことです。
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この突撃は、大規模な攻撃において使用された車両のすべてが民生用であったという点で、前例のない事例と言えるかもしれません。軍事アナリストの田中一郎氏(仮名)は、「これはロシア軍の装甲車両不足を如実に示すものであり、戦況の悪化を示唆している可能性がある」と指摘しています。
装甲車両の損失とポクロウシクの重要性
ロシア軍はウクライナとの戦闘で数千両の装甲車両を失っており、その補充に苦慮していると言われています。一方、ポクロウシクはロシアにとって戦略的に重要な都市であり、その占領は主要な目標となっています。今年2月には、アウジーウカからウクライナ軍を撤退させて以来、ロシア軍はポクロウシクに向けて徐々に進軍を続けています。
ポクロウシクの防衛にあたるウクライナ軍は、兵力ではロシア軍に劣っているものの、地の利を生かした戦術で抵抗を続けています。しかし、ロシア軍の度重なる攻撃により、ウクライナ側の損害も無視できない状況となっています。
兵力差と損害状況
ウクライナ軍のポクロウシク守備隊は3個旅団規模であるのに対し、ロシア軍は8~9個旅団・連隊規模の大軍を投入しています。車両の損失数も、ロシア軍は約2000両にものぼる一方、ウクライナ軍は約500両と、その差は歴然としています。軍事評論家の佐藤恵子氏(仮名)は、「兵力差と装備の差を考えると、ウクライナ軍は厳しい戦いを強いられていると言えるだろう」と述べています。
民生車両突撃の結末と今後の戦況
今回の民生車両による突撃は、ウクライナ軍によって撃退されたと報じられています。ウクライナの人気軍事ブロガー「オフィツェル+」も、この突撃の失敗を報告しています。しかし、ロシア軍がこのような奇策に打って出たという事実は、彼らの苦境を物語っていると言えるでしょう。
今後の戦況については予断を許しませんが、ロシア軍の装備不足は深刻化しており、更なる苦戦を強いられる可能性があります。ウクライナ紛争の行方は、依然として不透明な状況が続いています。