韓国政変と中国:揺らぐ国際情勢を読み解く

韓国で12月3日に起きたとされる政変劇。戒厳令発令という衝撃的な展開は、すぐさま中国にも波及し、大きな注目を集めました。本稿では、この政変劇が中国にどのような影響を与えているのか、そして今後の日中韓関係、ひいては国際情勢への影響について考察します。

中国で拡散された「12・3内乱事態」

12月3日以降、韓国の集会や国会の状況を中国語字幕付きで映した動画が中国のインターネット上で拡散され、多くの中国人が注目しました。民主主義への葛藤という共通点から、韓国と中国の市民が共感し、意見交換するきっかけとなったのです。

韓国の国会の様子韓国の国会の様子

実は今年11月末、私が北京と上海を訪れた際、既に多くの中国人が「韓国で戦争が起きるかもしれない」と噂していたことに驚きました。中国の朝鮮半島専門家は、戦争勃発の可能性として偶発的な衝突、あるいは尹錫悦大統領による意図的な挑発を挙げ、金正恩委員長による挑発の可能性は低いと分析していました。

帰国後まもなく、尹大統領が戒厳令を発令したというニュースは、まさに衝撃でした。北朝鮮への挑発行為を続けていたという証言もあり、韓国が戦争の危機に瀕していたことは明らかです。中国の知人たちに「まさかここまでとは」と釈明のメッセージを送ったほどです。

尹大統領の「反中」姿勢と中国の思惑

尹大統領の「中国スパイ」「中国太陽光」発言は、中国への強い敵意を示すものでした。中国外務省も「深い驚きと不満」を表明し、非難しました。しかし、中国政府は基本的には「内政不干渉」の立場を強調し、慎重な姿勢を保っています。

中国外務省の会見中国外務省の会見

実はこの政変劇以前、中国政府は韓国に対して「微笑外交」へと舵を切っていました。韓国人へのビザ免除政策や、様々な分野での交流促進などです。これには、トランプ政権の復活を前に、米国と同盟関係にある韓国、日本、欧州諸国との関係改善を図るという中国の戦略的な意図が隠されています。

特に、来年韓国で開催されるAPEC首脳会議での習近平国家主席の訪韓を成功させるためには、友好的な雰囲気づくりが不可欠です。2026年のAPEC首脳会議は中国開催であり、習主席の4期目への足がかりとなる重要なイベントです。

混迷する韓国情勢と中国の期待

「反中」姿勢を鮮明にしてきた尹大統領が、このような形で失脚したことは、中国にとって予想外の展開でした。次期指導者が誰になるにせよ、尹大統領よりは中国に友好的な姿勢を示すことが期待されます。

復旦大学の趙明昊教授は、尹大統領の弾劾が韓中関係再構築の契機になるとの見解を示しました。米中対立の激化が予想される中、中国は韓国、日本との協力を重視しており、グローバル市場における協調関係の構築を目指しています。

今後の日中韓関係と国際情勢

今回の韓国政変は、東アジアの安全保障環境を大きく揺るがす可能性を秘めています。今後の日中韓関係、そして国際情勢の行方は、新たな指導者の外交政策に大きく左右されるでしょう。日本としても、この情勢の変化を注視し、適切な対応を取ることが求められます。

今後の展開については、引き続きjp24h.comで最新情報をお届けしていきます。