韓国経済の先行きに暗雲が立ち込めている。世界的な景気減速と国内政治の不安定さなどを受け、韓国企業の景況感は過去最長となる2年10ヶ月連続で悪化している。この深刻な状況は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まった2020年以来の落ち込みを見せている。
企業景況感、過去最低水準に
韓国経済人協会が発表した2024年1月の総合企業景況判断指数(BSI)見通しは84.6と、基準値の100を大きく下回った。BSIが100を下回るということは、企業の景況感が前月よりも悪化していることを示しており、今回の結果は2022年4月から実に34ヶ月連続で基準値を割り込んでいることになる。これは、同協会が1975年1月にBSI調査を開始して以来、50年間で最も長い低迷期間である。これまでの最長記録は、2018年6月から2021年2月までの33ヶ月だった。
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1月のBSI見通しは、前月の97.3から12.7ポイントも大幅に下落した。これは、新型コロナウイルスの影響が顕著に現れた2020年4月以来の大きな落ち込みだ。経済専門家であるパク・スンチョル氏は、「今回のBSIの大幅な下落は、世界経済の減速に加え、国内の政局不安や消費の低迷などが複合的に影響した結果だ」と分析している。
製造業・非製造業ともに厳しい見通し
業種別に見ると、製造業と非製造業のいずれも厳しい状況が続いている。製造業のBSIは84.2、非製造業は84.9と、どちらも基準値を大きく下回っている。製造業の10業種の中では、電子・通信機器だけが105.3と好調な見通しを示しているものの、その他の業種は軒並み低迷している。非製造業も7業種中、運輸・倉庫だけが103.8と好調な見通しを示している。
韓国経済の専門家であるキム・ヨンヒ氏は、「製造業の低迷は、世界的な需要減退の影響が大きい。特に、半導体市況の悪化が韓国経済全体に大きな影を落としている」と指摘する。
内需・輸出・投資、すべて低迷
調査項目別では、内需、投資、雇用、輸出、資金繰り、採算性、在庫の7項目すべてでBSIが基準値を下回っている。特に、内需は2020年9月以来、輸出は2020年10月以来の最低水準となっている。投資も昨年4月以来の低水準で推移している。
これらの指標は、韓国経済が深刻な状況に陥っていることを示している。今後の景気回復に向けては、政府による効果的な経済対策が不可欠となるだろう。