〈「強い匂いでクマを引き寄せてしまう」自宅にあれば要注意…“人喰い熊”から『エサだ』と見なされてしまう意外なアイテムとは?〉 から続く
【画像】自宅にあれば要注意…“そろそろ冬眠”のクマを呼び寄せてしまう意外なアイテムは…(全8枚)
クマ被害に揺れる日本社会。襲われてしまうリスクを減らすために、どんな対策が必要なのか。
岩手大学の山内貴義准教授、森林総合研究所東北支所の大西尚樹氏、野生動物の調査や鳥獣被害対策を手掛ける「株式会社うぃるこ」専門員の梅村佳寛氏ら、クマ被害のエキスパートたちに聞いた。(全2回の2回目/ 最初から読む )
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クマは首都圏にも出没している
クマは、東京都町田市や埼玉県飯能市など、首都圏にも出没。観光客で賑わう京都の嵐山でも目撃情報が相次ぐ。大西氏が語る。
「クマが高密度になっているのは東北地方だけではありません。東北で起きている現状は、いずれ自分たちの身にも降りかかると危機感を持ってほしい」
クマから身を守るにはどんな行動を取るべきか。山内氏が強調する。
重症回避率100%の行動は…
「山菜採りやキノコ狩りなど、クマの生息域に近づかないに越したことはありませんが、クマを見つけたら、大声を出して刺激したりせず、静かに後ずさりする。
止むを得ず至近距離で遭遇した場合には、うつ伏せになり、両手を首の後ろに組む姿勢を取ってください。反射的にうつ伏せになる練習をしておくことをおすすめします」
かねてからクマとの遭遇時に推奨されてきた方法だが、秋田大学大学院などの研究グループが、この防御姿勢の有効性を確認し、今年6月に発表した。23年度、秋田県内でクマに襲われ、医療機関を受診したのは70人。そのうち、うつ伏せの防御姿勢を取った7人は全員が重症被害を免れていた。つまり、重症回避率100%の行動である。
「クマの攻撃は、顔や頭など上半身に集中することが分かっています。人身被害の多くは“バッタリ遭遇”のケース。そこでの攻撃は驚いたクマの防衛行動なので、防御姿勢で初撃を凌ぎ、致命傷を免れたい」(梅村氏)
11月4日未明、秋田市で新聞配達中の男性が藪から出てきたクマに襲われ負傷したが、防御姿勢をとるとクマは去ったという。
「バッタリ遭遇の回避にはクマ鈴や携帯ラジオで人間の存在を知らせることも現時点では有効です」(同前)






