スマホを中心としたデジタルが生活の中心となって久しい。そうしたなか、最近X上で「違和感を覚える」といった投稿がされ、話題となったのが、神奈川県のバス停留所だ。そこには時刻表がなく、代わりに掲示されていたのはQRコードだけだったのだ。もちろん、QRコードをスマホで読み込めば、時刻表やバスの現在地が表示されるわけだが……。IT化は人々の生活を便利にはしたが、これってさすがに行き過ぎでは? 【取材・文=中川淳一郎】
利用者に過度な負担を与えていないか
何しろ、バス停の掲示を見ても「バスがいつ来るか?」が瞬時に分からないのである。「バスは交通状況によって遅延したり早く来るものであるから、時刻表はそこまで重要な意味はない」と言いたい方もいるかもしれないが、案外定時に到着するもの。
ヒマな人はQRコードで時刻表を読んでそれに従えばいいかもしれないが、「バスに乗るか、タクシーを拾うか、或いは猛ダッシュで走るか」を考えている切羽詰まった人にとってこのQRコードはかなり厳しい。
ただし、バス会社の事情も分かる。昨今運転手が不足しており、バスの減便を余儀なくされているため、以前よりも頻繁にダイヤ変更が発生する。だからこそ「現状の時刻表」を利用者に伝えようとしているのだ。とはいっても、いちいちQRコードをスマホで読み込み、ネットに接続して時刻表を読ませるというのは、利用者に過度な負担を与えていないか?
これと似ているのが、飲食店におけるスマホによる注文である。元々飲食店では「すいませーん」と店員に声をかけ、注文すればよかったのだが、ここ最近は、卓上のQRコードで、商品を注文させる店が増えている。
だが、これはスマホの電池を消費するのに加え、通信料も客が負担している。なぜ、店の都合に合わせなければいけないのだ? いやぁ〜、昨今の物価高と人件費高騰で仕方ないんッすよ! と店側は言いたいかもしれないが、正直、利用する側とすれば面倒くさいし、納得のいく話ではない。それどころか、途中でスマホの電池が切れたり、電波状況が悪くて注文ができなかったりすると、客と店の間でよけいなトラブルが生じかねないのだ。






