2025年の年末恒例行事である「新語・流行語大賞」の発表と授賞式が、今年も12月1日午後に開催されます。長らく特別協賛を務めてきたユーキャンに代わり、今年は21年ぶりにスポンサーが「T&D保険グループ」へと交代。しかし、1984年の第1回から時事用語事典『現代用語の基礎知識』を発行する自由国民社が主催者である点は一貫しており、その伝統は変わることなく受け継がれています。この賞は、その年の世相を映し出す鏡として、毎年多くの関心を集めています。
「新語・流行語大賞」に新たな動き:スポンサー交代と主催の継続
「新語・流行語大賞」は、その年の出来事や社会現象を反映する言葉を選び出し、世間の注目を集めてきました。今年は、長年のパートナーであったユーキャンからT&D保険グループへと特別協賛が引き継がれ、その名称も新たに「T&D保険グループ新語・流行語大賞」となりました。この大きな変化は、同賞の歴史においても新たな節目となるでしょう。しかし、賞の根幹を支える主催は、創設以来変わらず自由国民社であり続けています。これは、流行語選定の信頼性と権威を保つ上で重要な要素と言えます。
2025年のノミネート語30選:多様性と意外な反応
毎年11月上旬に発表されるノミネート語は、その時点で早くも大きな話題となります。過去には「本当に流行ったのか?」という疑問の声も聞かれることがありましたが、今年のノミネート語30個は、例年になくスムーズに受け入れられたようです。「ビジュイイじゃん」「エッホエッホ」といった若い世代を中心に流行した言葉が多数選ばれたことが、その背景にあるのかもしれません。一方で、毎年多くの受賞語を生み出してきた野球関連の言葉が、今年はノミネート段階で一つも含まれていなかった点は注目に値します。この変化は、世の中の関心の多様化を示唆していると言えるでしょう。
2018年の「新語・流行語大賞」授賞式の様子
選考委員が語る今年の傾向:「何も変えてない」が示す変化の背景
選考委員の一人であり、『現代用語の基礎知識』の大塚陽子編集長は、受賞語発表の約10日前のインタビューで、今年の選考体制について「何も変えてない」と語っています。にもかかわらず、ノミネート語が広く受け入れられた理由については、大塚編集長も首をひねりつつ、「いままでがちょっとずれてたんですかね?」と自問します。彼女の分析によれば、今年のノミネート語にはSNSに親しむ若い世代が知る言葉が多く、それが幅広い層に受け入れられる要因となった可能性があります。年配の世代からも「知らなかった」という声が少ないことから、「今年はマシじゃないか」という評価につながっているのかもしれません。
大塚編集長はさらに、流行語の浸透プロセスについても興味深い見解を示しています。例えば、大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」は2022年に登場し、当初は「不気味だ」という声もありましたが、万博開催を控えた今年、一気に「不気味だけどかわいい」と人気を集めました。また、「薬膳」も以前から存在していた言葉ですが、ドラマでの話題やSNSでのトレンドが連動し、若い世代にまで浸透したと言います。これらは必ずしもその年に生まれた新語ではないものの、「いよいよ世に広まって定着した」というタイミングでノミネートされた言葉が多かったことが、今年のノミネート語がすんなり受け入れられた大きな理由であると分析されています。大塚編集長は「またどうせ『こんな言葉、流行ってない』とか言われるんだろうなと覚悟をしつつ発表はしてます。ただ、今年は何かちょっと空気が違う。それはそれで怖いですよね(笑)」とユーモラスに語り、今年の反応の変化に戸惑いながらも期待をのぞかせました。
今後の「新語・流行語大賞」への期待と課題
今年の「新語・流行語大賞」のノミネート語に対する肯定的な反応は、SNSの普及と世代間の情報共有の変化が、流行語の認識に大きな影響を与えていることを示唆しています。スポンサーの交代という新たな動きと共に、選考委員会の「何も変えていない」というスタンスの中で、自然と世間の声が反映される結果となったことは、この賞の持つ社会的な影響力の健全な進化を示しているとも言えるでしょう。今後も「新語・流行語大賞」は、日本社会の多様な側面を映し出す文化的な指標として、その動向が注目されます。言葉がどのように生まれ、広がり、そして定着していくのか、そのプロセスをこの賞を通して見守ることは、現代社会を理解する上で非常に価値のあることだと言えるでしょう。





