山口組の「事始め」にみる組織運営の最新動向:2代目國領屋一家での開催から紐解く

日本の組織犯罪対策にとって重要な意味を持つ山口組。その年末恒例の「事始め」が、2代目國領屋一家(静岡県浜松市)で執り行われました。この記事では、2024年の事始めの様子や、そこから見えてくる山口組の組織運営の現状、そして今後の動向について深く掘り下げていきます。

伝統行事「事始め」:2代目國領屋一家での開催

日本の伝統文化に根ざした「事始め」。本来は花街で新年の準備を始める日のことを指しますが、山口組においても重要な年中行事となっています。2024年の事始めは、静岡県浜松市にある2代目國領屋一家において開催されました。厳重な警備体制が敷かれる中、司忍組長をはじめ、竹内照明会長(3代目弘道会)、津田力組長(4代目倉本組)、安東美樹組長(2代目竹中組)などの幹部たちが集結。新年の組織指針として掲げられたのは「和親合一」でした。これは山口組の綱領第1条にも記されている言葉であり、2016年以降、組織分裂を経ても変わることなく受け継がれている基本理念です。

山口組の事始め会場となった2代目國領屋一家の事務所前山口組の事始め会場となった2代目國領屋一家の事務所前

司組長のファッションと出席者の顔ぶれ

午前9時頃、司忍組長が到着。白いタートルネックのニットに青いストール、グレーのブルゾンというカジュアルな装いは、スーツに白いネクタイで統一された他の幹部たちとは対照的でした。このファッションからも、司組長の独自のスタイルが垣間見えます。出席者の中には、5代目山健組の中田浩司組長や、8代目会長に就任した会津小鉄会の高山誠賢会長の姿も。中田組長は抗争事件に関与した容疑で起訴されていましたが、2024年10月に無罪判決を受けています。このように、様々な背景を持つ幹部たちが一堂に会する「事始め」は、山口組の現状を理解する上で重要なイベントと言えるでしょう。

暴力団問題に詳しいジャーナリスト、山田一郎氏(仮名)は、「司組長の服装は、組織の若返りを図る狙いもあるのではないか」と分析しています。伝統を重んじながらも、時代に合わせた変化を模索する姿勢が伺えます。

各組織の事始めと絆會の動向

山口組本部での事始めの後、各直系組織も独自に事始めを行います。3代目弘道会は11代目紙谷一家(三重県津市)で、5代目山健組は3代目妹尾組(岡山県岡山市)の備前支部でそれぞれ開催されました。一方、対立組織である絆會も年末の会合を開催。2代目絆奥会が解散・脱退するなど、組織の動向が注目されています。

2024年は、池田組と絆會の若頭が殺人罪で起訴されるという異例の事態が発生しました。ナンバー2が直接実行犯となるケースはこれまで稀であり、暴力団情勢の新たな局面を迎えていると言えるでしょう。今後の動向を注視していく必要があります。

まとめ:今後の山口組と暴力団情勢

2代目國領屋一家での「事始め」は、山口組の結束力と組織運営の現状を改めて示す場となりました。今後の暴力団情勢は、対立抗争の激化や組織再編など、予測困難な状況が続く可能性があります。警察当局は引き続き警戒を強め、組織犯罪対策に万全を期す必要があります。