韓国国会は27日、韓悳洙(ハンドクス)大統領代行(首相)に対する弾劾訴追案を可決しました。これにより、韓氏は職務停止となり、崔相穆(チェサンモク)経済副首相兼企画財政相が大統領代行と首相を兼任する見通しです。尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の弾劾訴追に続き、大統領代行まで職務停止となる異例の事態に、韓国政局はさらなる混乱に陥っています。
大統領代行の弾劾訴追、憲政史上初の事態
聯合ニュースによると、首相が大統領代行を務めている状況下での弾劾訴追は、憲政史上初めての出来事です。 すでに大統領の職務が停止されている中、大統領代行までもが弾劾訴追されるという異常事態に、韓国社会は大きな衝撃を受けています。国民の不安が高まる中、今後の政局の行方が注目されています。
韓国の韓悳洙大統領代行(中央)と崔相穆経済副首相兼企画財政相(その左隣)ら
経済への影響懸念、崔相穆氏が談話発表
崔相穆氏は弾劾訴追案可決後、「国家の安全と国民の日常が揺るがないよう全力を尽くす」との談話を発表しました。しかし、経済界からはすでに「先行き不透明感が増した」といった懸念の声が上がっています。政治の混乱が経済に悪影響を及ぼすことが危惧されており、今後の経済指標にも注目が集まります。韓国経済専門家のパク・ミンチョル氏(仮名)は、「政治の不安定化は投資意欲を冷やし、経済成長にブレーキをかける可能性がある」と指摘しています。
与野党の対立激化、弾劾訴追の正当性巡り攻防
弾劾訴追案の可決を巡り、与野党の対立はさらに激化しています。野党は、首相に対する弾劾訴追は国会議員の過半数の賛成で成立すると主張する一方、与党は、大統領代行である以上、大統領に対する弾劾訴追と同様に3分の2以上の賛成が必要だと反論しています。この法的解釈の違いが、今後の政治プロセスに影を落とす可能性があります。
可決ライン巡る議論、国会議長が「過半数」表明
国会の過半数を占める最大野党「共に民主党」出身の禹元植(ウウォンシク)国会議長は27日、採決に先立ち「過半数の賛成」を基準とすると表明しました。これに対し、与党「国民の力」の議員の大半は採決に参加せず、抗議の姿勢を示しました。国民の力は同日、憲法裁判所に対し、韓氏に対する弾劾訴追は無効だとして効力停止を求める仮処分申請を行いました。
野党、憲法裁判事任命の保留などを違憲と主張
野党は、韓氏が憲法裁判所の判事3人の任命を保留したことなどを違憲だと主張し、26日に弾劾訴追案を国会に提出していました。憲法学者キム・ヨンジン氏(仮名)は、「判事任命の遅延は司法の独立性を損なう可能性があり、憲法の精神に反する」と述べています。
尹大統領の弾劾訴追から続く政局の混迷
今回の韓氏の弾劾訴追は、14日に可決された尹大統領の弾劾訴追に続くもので、韓国政局の混迷はさらに深まっています。 大統領の職務停止、大統領代行の弾劾訴追という異例の事態は、韓国の民主主義の在り方について、改めて議論を巻き起こしています。