日本最西端の島、与那国島南方の日本の排他的経済水域(EEZ)内に中国が設置したとみられるブイについて、中国外務省は27日の記者会見で「中国の管轄海域に設置した気象観測用のブイであり、合法だ」と主張し、撤去を拒否する姿勢を示しました。この動きは、日中関係の緊張をさらに高める可能性があります。
日中外相会談でも議題に 岩屋氏、撤去要求も中国は応じず
12月25日、北京で行われた日中外相会談で、岩屋毅外務大臣は王毅外相に対し、ブイの設置について抗議し、撤去を求めました。岩屋氏は「我が国として受け入れることはできず、日中関係においてマイナスでしかない」と強く訴えたものの、中国側は受け入れなかった模様です。
与那国島沖のブイ
ブイの設置目的は? 中国側の主張と日本の懸念
中国側はブイを気象観測用と説明していますが、日本側には安全保障上の懸念もあります。専門家の中には、海洋調査や軍事利用の可能性を指摘する声もあり、ブイの設置場所が日本のEEZ内であることから、主権侵害にあたるという見方も強まっています。
専門家の見解:海洋調査や軍事利用の可能性も
国際海洋法の専門家である東京大学海洋研究所の山田教授(仮名)は、「気象観測用という説明は表向きで、実際には海洋調査や軍事利用を目的としている可能性が高い」と指摘します。「この海域は戦略的に重要な位置にあり、中国が海洋進出を強化する上で重要な拠点となる可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
今後の日中関係への影響は?
今回のブイ設置問題は、尖閣諸島問題と同様に、日中関係の不安定要素となる可能性があります。日本政府は引き続き中国側に抗議し、撤去を求めていく方針ですが、中国が応じる可能性は低いとみられています。今後、日中両国がどのようにこの問題に対処していくかが、今後の両国関係を大きく左右することになりそうです。
漁業への影響も懸念
地元漁業関係者からは、ブイの設置による漁業への影響を懸念する声も上がっています。与那国島漁業組合の代表は、「ブイの周辺では漁網が引っかかる恐れがあり、漁に出るのが不安だ」と語っています。この問題が長期化すれば、地元漁業に深刻な打撃を与える可能性も否定できません。
日本政府の対応に注目
日本政府は、引き続き外交ルートを通じて中国側に抗議し、ブイの撤去を求めていく方針です。また、海上保安庁による周辺海域の警戒監視を強化し、不測の事態に備える構えです。今後の日本政府の対応に注目が集まります。