昭和22年に帝国議会が国会へ衣替えしてから、200回目の節目となる臨時国会が始まった。
衆参両院議員は国民の負託に応え、日本の独立と平和、繁栄に資する働きをしてほしい。
今国会最大の焦点は、憲法改正に向けて歩み出せるかどうかだ。
安倍晋三首相は所信表明演説で、憲法改正について「私たち国会議員がしっかりと議論していく。皆さん、国民への責任を果たそうではありませんか」と呼びかけた。
首相の呼びかけは、7月の参院選を通じて示された有権者の意思に沿ったものだ。憲法審査会での改憲論議の推進を訴えた自民党が参院選で勝利したからである。
首相も国会議員の一人で、最大与党自民党の総裁だ。今の憲法の制約や問題点に直面している行政府の長でもある。演説で呼びかけた責任を果たすためにも、改憲論議をリードしてもらいたい。
会派を合流した立憲民主、国民民主両党など野党が論議に後ろ向きであることは許されない。
憲法審査会では、昨年から先送りされてきた国民投票法改正案の早期成立を図り、憲法改正の具体的な中身に関する議論に入るべきだ。与野党の職務怠慢の姿をみるのはもうご免だ。
憲法改正と並んで、皇位の安定継承の方策を、伝統に則(のっと)って整えることも極めて重要である。
間近に迫った天皇陛下の即位の礼と大嘗祭(だいじょうさい)がつつがなく執り行われるよう、政府と国会は全力で支えてもらいたい。
首相は演説で消費税率引き上げの影響について「十分目配りしていく」と語った。景気の腰折れを防ぐための経済対策も今後の論点となろう。税率引き上げは増大する社会保障費や教育無償化の財源になる点を丁寧に説くべきだ。
全世代に対応した社会保障制度を「大胆に構想して」いくことも強調した。全世代型への転換は妥当だが、具体的方策を語らなかったのは物足りない。
社会保障と同様に、安全保障やエネルギー安全保障も具体策がなかった。北朝鮮の核・ミサイル問題や中国の脅威にどう対処するのか。原発再稼働や東京電力福島第1原発の処理水の処分、ペルシャ湾におけるタンカーの保護はどうするのか。
週明けからの国会で、これらの問題を率直に語ってほしい。