南シナ海における中国とフィリピンの緊張関係は、2024年、かつてないほど激化しました。この記事では、フィリピンへの補給船に対する中国の妨害、アユンギン礁での衝突、そして今後の国際社会の対応など、2024年の南シナ海情勢を詳しく解説します。
中国による妨害とフィリピンの抵抗：アユンギン礁における攻防
フィリピン軍は毎年、南シナ海の実効支配下の岩礁に駐留する兵士へ補給物資とクリスマスプレゼントを届けています。アユンギン礁に駐留する兵士たちも、1999年から座礁した軍艦「シエラマドレ号」で任務を続けており、定期的な補給は不可欠です。しかし、2024年は、この補給活動を巡り、中国との衝突が激化しました。
2024年3月5日、フィリピンの民間補給船が中国海警局の船から放水砲攻撃を受け、乗組員4人が負傷するという事件が発生しました。南シナ海の補給任務で負傷者が出たのはこれが初めてであり、事態の深刻さを物語っています。同行していたフィリピン沿岸警備隊の巡視船も中国船から体当たりされ、損傷を受けました。
alt=フィリピン補給船への中国海警局による放水砲攻撃
FNNによる現地取材：緊迫の最前線を目撃
この事件直後、FNNは外国メディアとして初めてフィリピン当局からアユンギン礁周辺海域の取材許可を得て、沿岸警備隊の巡視船による物資搬入任務に同行しました。3月23日未明、取材班が乗った巡視船はアユンギン礁周辺に到着しましたが、10隻以上の中国船団に包囲されました。中国海警局の船は進路妨害を繰り返し、フィリピンの補給船に放水砲を浴びせました。さらに、フィリピンの巡視船と中国海警局の船が接触し、互いに船体を損傷する事態に発展しました。フィリピンの補給船は放水砲で大きな損害を受け、3人が負傷したため、物資搬入任務は中止されました。
この緊迫した状況について、フィリピン政府関係者（仮名：マリア・サントス氏）は、「我々は自国の排他的経済水域内で正当な活動を行っている。中国の行動は国際法違反であり、強く非難する」と述べています。一方、中国側は「南シナ海は中国の領土である」という従来の主張を繰り返しており、対立の根深さを露呈しています。
alt=アユンギン礁周辺海域で対峙する中国海警局の船とフィリピン沿岸警備隊の巡視船
国際社会の対応と今後の展望
南シナ海問題専門家（仮名：田中一郎教授）は、「中国の強硬な姿勢は、地域の安定を脅かすだけでなく、国際法に基づく秩序を揺るがすものだ。日本を含む国際社会は、フィリピンとの連携を強化し、航行の自由と法の支配を守るために断固とした対応を取る必要がある」と指摘しています。
2024年の南シナ海における中国とフィリピンの対立は、地域の緊張を高めるだけでなく、国際秩序の維持という課題を改めて浮き彫りにしました。今後、日本を含む関係国がフィリピンと協力し、南シナ海における国際法に基づく秩序を維持できるかが焦点となります。
