故郷への帰省が苦しい…高学歴ワーキングプアの実情

年末年始の帰省シーズン。家族や友人との再会を心待ちにする人も多い一方で、故郷へ帰ることが苦痛だと感じる人々もいます。特に、高学歴でありながら安定した仕事に就けていない「高学歴ワーキングプア」と呼ばれる人々にとって、帰省は過去の栄光と現在の厳しい現実とのギャップを突きつけられる、辛い経験となっています。今回は、高学歴ワーキングプアの実情と、彼らが抱える苦悩について深く掘り下げていきます。

高学歴ワーキングプアとは？

高学歴ワーキングプアとは、大学や大学院を卒業した高学歴でありながら、非正規雇用や低賃金の仕事に就き、経済的に困窮している人々のことを指します。彼らは高い教育を受けているにも関わらず、希望する職に就けなかったり、キャリアアップが難しかったりと、様々な困難に直面しています。

地元を離れ都会の大学へ進学する若者

帰省が苦痛となる理由

高学歴ワーキングプアにとって、帰省が苦痛となる主な理由は、周囲からのプレッシャーや期待、そして過去の自分とのギャップです。地元では「優秀な子」として期待され、将来を嘱望されていた彼らにとって、現在の状況を家族や友人に伝えることは大きな負担となります。成功を収めている同級生や親戚との比較、そして将来への不安など、様々な感情が複雑に絡み合い、帰省を憂鬱なものにしてしまうのです。

過去の栄光と現在の現実のギャップ

かつては地元の進学校でトップクラスの成績を収め、誰もが羨む有名大学に進学した西田勉さん（30代・仮名）。親戚一同の期待を一身に背負い、輝かしい未来を約束された存在でした。しかし、大学院に進学後、思うように就職活動が進まず、非常勤講師を掛け持ちする生活に。年収は100万円程度で、かつての栄光とはかけ離れた厳しい現実を突きつけられています。

帰省の時期、親戚の集まりで過去の栄光を思い出す

周囲からのプレッシャーと期待

「地元では常にトップで、親戚の中ではダントツの高学歴でした」と語る西田さん。周囲からの期待は大きく、帰省の度に将来について聞かれることがプレッシャーになっていました。大学院進学後は社会人の友人との会話にもついていけず、次第に帰省を避けるようになったといいます。キャリアカウンセラーの佐藤恵子さん（仮名）は、「高学歴ワーキングプアは、『高学歴なのだから、もっと良い仕事に就けるはず』という周囲からの無意識のプレッシャーに苦しんでいることが多い」と指摘します。

高学歴ワーキングプアへの支援の必要性

高学歴ワーキングプアの問題は、個人の努力不足だけで片付けられるものではありません。雇用環境の悪化や社会構造の変化など、様々な要因が複雑に絡み合っています。彼らが自身の能力を活かし、社会で活躍できるよう、適切な支援体制の構築が急務です。NPO法人代表の阿部恭子さんは、「高学歴ワーキングプアは、プライドが高く、周囲に助けを求めにくい傾向がある。だからこそ、社会全体で彼らの声に耳を傾け、必要なサポートを提供していくことが重要だ」と訴えています。